出版社内容情報
事故死した妻が遺した名車に、不可思議なカーナビの履歴がみつかった。履歴をたどる旅で見えてきた、亡き妻の想いとは?
源 孝志[ミナモト タカシ]
著・文・その他
内容説明
妻の美奈子が突然事故で亡くなった。夫の希久夫にホンダの名車「エスハチ」が遺されるが、カーナビから不可思議な走行履歴が見つかる。藤沢、松本、尾道、モナコ…履歴をめぐる旅に出た希久夫に、美奈子が残した最期のメッセージとは?往年の名女優、伝説のエンジニアの人生と交錯したはてに感動のラストが待っている。
著者等紹介
源孝志[ミナモトタカシ]
1961年生まれ。立命館大学卒業後ホリプロに入社。CMやTVの制作を経てフリーの演出家・脚本家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙@5/19文学フリマQ38
76
妻が交通事故で亡くなり残された夫には妻の愛車が渡されます。交通事故にも関わらず妻から夫に遺言状がありました。夫は免許を持っていませんでしたが妻の遺言で自分に車が託されたとなっては自分で乗るしかありません。免許を取って乗ってみるとカーナビの履歴が不自然でした。妻はいつの間にこんな所に行ったのか気になってその地を訪ねてみると次々と明かされていく衝撃の事実。藤沢、松本、尾道、松山、モナコ、本田宗一郎にゆかりのある方はぜひ読んでみてください。2024/03/22
neimu
54
現在放送中のNHKドラマの演出を楽しむこともできるし、演出に取り入れられた様々な作者のこだわりも垣間見え、文字で読むことの醍醐味も味わえる。硬派なロマンチストの話、とでも言えばいいだろうか。日本の景色の中にヨーロピアンティストの赤い車が疾走する。愛の証であることを示しながら。ミステリーめいた過去をたどる旅の美しさに、切なさに、感動してほしい。初めて読む作家だが、昔読んだ『美味礼賛』の海老沢泰久の文体を思い出した。文章の方で最後まで読んでしまったが、ドラマは描くのか楽しみだ。お取り寄せ64歳誕生日記念読書。2023/04/21
さぜん
46
読書会課題本。面白かった!ホンダ「エスハチ」を夫の喜久夫に遺し、事故で逝ってしまった美奈子。カーナビの履歴を辿ることで彼女の秘密とメッセージを受け取っていく。構成が素晴らしい。蘊蓄もさることながら、喜久夫が次に何を突きつけられるのか、先を読まずにはいられない。伝説のエンジニア征二郎がカッコいい。モナコでの逸話は感動だった。二人の夫婦愛も良いが、喜久夫の家族の物語がグッときた。母の息子への想いはどれほどのものだったか。ドラマも見てみたい。2023/11/19
ざるこ
45
まったく上手く伝えられないレビューに情けなくてもう1回。グレースは美奈子がつけた愛車の名前。愛車が繋ぐ縁はホンダの技術者、モナコ公国にまで及びます。モトGPやモナコGPなどレースの内情やコースを疾走する爽快な景色なども楽しめる。各章に書いてあるホンダ創業者の名言もとてもいい。希久夫の「幸せにできていただろうか」という不安、美奈子の「死んでも希久夫の人生に責任がある」という信念。ボロボロと涙が出てきます。それぞれの心情がとても胸に響く作品です。…やっぱりうまく書けない…とにかくとても気に入ったのです。2019/02/14
ざるこ
44
愛車ホンダS800を遺し亡くなった美奈子。ナビに残された不可解な履歴。神奈川、長野、滋賀、広島…。信頼していたはずの妻に疑念を抱き、それぞれを訪れる旅に出る希久夫。出かけた先々で自分がなくしたと思っていたものを見つけ愛車が奇跡のような縁を結んでいく。とにかく美奈子の夫を孤独にしたくないという想いがすごい。強くて気高くて愛情深い。胸がズキンとする言葉や文章がとても多い素晴らしい作品だった。ただ草織に対する美奈子の行動は納得できない。私には絶対ムリ!美奈子には脱帽です…。世の夫と妻たちにぜひぜひ読んで欲しい。2019/02/14