出版社内容情報
悠長で役に立ちそうもないものこそ、深い意味をもつ。深呼吸しないと見落としてしまうような真実に気づかされる53のエッセイ。
内容説明
ふだん気づかないことの隠れた深い意味を「お話」が明らかにしてくれる!本書は様々なテーマによって広がりを持つと同時に、どのテーマも驚くような深まりを見せ、たましいの動きを伝えてくる。文化やこころのゆくえに意欲的なヒントを与えてくれる、いまだに輝きを失わない、五十三のことばの花束。
目次
ニュースは事実を、お話は真実を伝える
キカイなる上司
葛藤からこそ新しいものが生まれる
日本は大変革のとき
ほんとうにほんとうの話
文化ボランティアのすすめ
さて、平成の「おとうさん」は
バッハ、マタイ受難曲のふしぎ
はてな、はてな
「日本的なもの」への拒絶や反発〔ほか〕
著者等紹介
河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年、兵庫県生まれ。心理療法家。京都大学理学部卒業後、高校教師になるが、教育問題を契機に心理学を志し、京都大学大学院、アメリカのカリフォルニア大学で臨床心理学を学び、62年にはスイス・チューリッヒのユング研究所に留学。日本人としてはじめてユング派分析家の資格を得る。75年から京都大学教授、95年から国際日本文化研究センター所長などを歴任。2002年、文化庁長官(~07年)。紫綬褒章受章、文化功労者顕彰。2007逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mm
25
1995年から4年間京都新聞に月一で「平成おとぎ話」として掲載されたコラムをまとめたもの。日記的で活動月報みたいな感じ。活動範囲が広く移動距離もなかなかなもの。70歳にしてこの行動力、好奇心そして過去を振り返るより、未来にフォーカスする視線。やはりご立派でございまする。日本の神話の中空構造を「それぞれ勝手やけど、なんかまとまってまっせ」と意訳してる。本の帯についてのエピソードが面白かったので今度誰かに言ってやろうっと。京都という場所には不思議な力が潜んでいるらしい。生まれ変わったら大学は京都にしよう。2019/05/11
morinokazedayori
22
★★★★★世界を飛び回る著者の活動範囲の広さと、心理学、哲学、宗教、文学から芸術に至るまで、扱われている素材の広さに圧倒される。押し付けがましさが微塵もない、柔らかく時にユーモア溢れる語り口に、著者の懐の深さを感じる。2018/02/15
きょちょ
21
昔話の話はやはり面白い。 江戸時代、すべての藩ではなかったのかもしれないが、個性を重視した教育をしている藩があったことは、今更ながら教育家と政治家は真剣に考える必要がある。その藩は、当然飛び級もあったそうな。 誰でも平等という教育はいい加減止めるべし。 河合先生は、70過ぎても精力的に海外も含め公演されてきた。 仕事しすぎが、早逝の一因ではなかったろうかと、今でも思う。 ★★★ 2023/04/01
たまきら
20
夫が借りてきたので読んでみた。不思議なリズムの文章だ。脈拍が裏打ちされてるような、なんだかテンポがずれてるような。「自分の感覚」を大切にしている人が時事ネタについて解説している面白さというか。リアルタイムで読んだら面白かったろうなあ。2017/09/28
roughfractus02
9
京都新聞連載の53のコラムを収めた本書は、「事実」を伝えるニュースと異なり、物語は「真実」を伝えるという。物語が伝える「真実」とは、幻想や想像でできた物語を生み出す無意識と現実を認知する意識との包括的関係(こころ)であり、視聴覚優位の意識と言語でてきた「事実」はその一部にである、という著者の主張を含む。幼児期に同一化する対象を作る必要を説く著者は、オウム事件の若者達に現代の希薄な人間関係を見出し、自我の自立を促す社会に出る以前に濃密に他者と関わる無意識的な経験が、成人後の不安に対処する安心感を作ると語る。2023/02/17