出版社内容情報
私立探偵・法水麟太郎は、死の商人・瀬高十八郎の魔の手から、謎の「鉄仮面」を救出できるのか。『黒死館殺人事件』の作家の傑作。
内容説明
乱歩、澁澤龍彦も絶讃した、本邦三大ミステリのひとつ『黒死館殺人事件』の小栗虫太郎、もう一方の代表作。九州某所に幽閉された謎の鉄仮面とは何者か?私立探偵・法水麟太郎は死の商人・瀬高十八郎の魔の手から彼を救い出せるのか。帝都を襲ったペストの陰の陰謀に挑む、ペダンチックな冒険伝奇探偵小説。KAWADEノスタルジック探偵・怪奇・幻想シリーズ。
著者等紹介
小栗虫太郎[オグリムシタロウ]
1901年、東京生まれ。推理小説作家、秘境冒険小説作家。京華中学校卒業後、会社員を経て印刷業を始めた後、小説をこころざす。「完全犯罪」が認められ、探偵小説文壇デビュー。雑誌『新青年』『オール讀物』『モダン日本』などに異色作・意欲作を発表した。1946年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コットン
67
藤月はなさんのオススメ本。『黑死館殺人事件』の著者が頭の中で高度に遊んでいるような感じに比べると、本作はロマンス要素があったりして黑死館に比べると読みやすい。 2019/06/26
そうたそ
18
★★☆☆☆ 探偵小説というよりも、これはもはや冒険小説。とにかく、ぼーっとしてたら今どうなっているのかわからなくなるような唐突にも思える展開(悪い意味で)に四苦八苦。法水麟太郎シリーズに通ずる衒学趣味は健在だが、比較的抑えめといったところか。全体的に粗さが目立つような構成含め、お世辞にも出来がいい作品とは言い難く、読み終えたところで、ストーリーの筋を追うのが大変だったという印象しか残っていない。2020/05/22
sashi_mono
11
薩州・上宮岳の地から身を起こし、いまや財界はおろか時の政府にも多大な影響力を及ぼす茂木根財閥。絶大な権力のもとに、直属の秘密機関を掌握し、その趨勢を一手ににぎる一族の実質的支配者・瀬高十八郎。日本三大奇書のひとつ『黒死館殺人事件』でもお馴染みの法水麟太郎が、帝都で頻発する怪事件を追って財閥の暗部に切り込む、ロマネスク香る衒学風冒険譚。……と一丁前に紹介しておりますが、挫折、寝落ちを繰り返し、いっこうに読書がはかどらず。心をいれかえ付箋とメモを駆使して、なんとか読了することができました。2018/02/05
河内 タッキー
10
黒死館殺人事件同様、法水麟太郎が登場するが、推理小説よりは冒険小説の要素が強く、毎回襲ってくるピンチに得意の推理で切り抜けていくという流れだ。相変わらず無国籍な舞台で、まるでルパン三世のよう。2017/09/10
歩月るな
9
全短編集と併せて発表年代順に読んでみる。江戸川さんの推したように『黒死館殺人事件』が探偵小説をぶっ壊そうとしていたなら、やがて探偵は推理を放棄する、そういう道もある。奇しくも海の向こうでは、セイヤーズとバークリー擁する探偵役がそれぞれ役を降りようとしている。この小説は最近何かで聞く所の「新伝奇小説」らしい。ところで、法水であるが病に伏した妻がいるのに数えで14、5の娘に女を感じて、不倫俳優が女の敵として叩かれるのを見ている昨今とするとこいつひょっとして最低なのでは。あれ、法水って妻帯者ですよね、これって。2020/03/14