出版社内容情報
やっかいな中学生活を送る僕は時折、犬と秘密の場所に行った。そこには得体の知れない肉が埋まっていて!? 文藝賞受賞作。
【著者紹介】
兄は1975年、弟は1976年、ともに愛知県生まれ。2009年『犬はいつも足元にいて』で文藝賞を受賞し、兄弟ユニット作家としてデビュー。他の著書に『まことの人々』『わたしは妊婦』がある。
内容説明
離婚した父親が残していった黒くて大きな犬。僕にしつこくつきまとう同級生のサダ…やっかいな中学生活を送る僕は時折、犬と秘密の場所に出かけた。その茂みの奥には、悪臭を放つ得体の知れない“肉”が埋まっていて!?日本文学史上初の兄弟ユニット作家による第46回文藝賞受賞作/芥川賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カナティ
41
兄弟ユニット作家さんのデビュー作。「私は妊婦」に続く2作目です。ほっこりしそうなタイトルに惹かれましたが、内容はブラックですね(笑) 犬好きにはちょっと...な悪意があったり、場面によっては腐敗臭が漂ってくるような感覚でした。とても爽やかとは言えない話ですが、200ページ未満の短くてさらっと読める薄い本なので、不快感を味わいたい方はぜひお試しあれ(笑)。2013/11/22
鱒子
31
図書館本。私は黒い大型犬を飼っているので、気になってジャケ借りです。…予想外の歪んだ世界にびっくりしました。主人公の少年が病んでいるのか、それとも中1という年齢マジックなのか。なんとも嫌な気持ちになる作品ですが、ラストは圧巻。心地悪い余韻が残ります。2017/06/30
河合奈緒美
24
タイトルと大違いの内容でびっくり。途中から恐怖小説なのか?これは?と思ったくらい。主人公をはじめ、登場人物全員が不気味というか・・そう可愛くない!主人公も中学生らしくないし、サダだけじゃくてその母親も超不気味!こんな話に出てきた犬がかわいそうになっちゃった(笑)2014/08/24
波多野七月
13
人と人の間にある体温のようなモノが〈悪意〉に転じた時の、吐き気をもよおすほどの〈臭気〉がここにある。母と子、子とその父。そして、父が残した一匹の犬。いびつな家族、そしていびつな友人関係。クラスメイトのサダとの、不穏なが関係がただ不気味。ぬかるんだ水たまりに足を取られ、泥が跳ねてずぶ濡れになったような。思いもがけない悪意や、誰かのエゴの醜さ。読者に嫌悪感を抱かせる人物描写が、ただ秀逸。幸せの欠けらも予兆も、そこにはなく。ただ、足元の犬の体温と吐く息と、ぬらぬらとした舌が横たわるような暗黒小説。2015/03/31
coco夏ko10角
12
大森兄弟の本は「わたしは妊婦」に続いて二冊目。すごく面白い、というわけではないのだが、なんだか不思議な感じがするというか無視できないというか。死臭や泥々しさに満ちている。サダのお母さんにもっと登場して欲しかったな。芥川賞ノミネート作品。このとき審査員・小川洋子さんが一番高い評価をつけた作品なので、小川洋子さんの感覚が好きな人におススメかも。2013/09/08