出版社内容情報
秀吉を支えた名軍師・黒田官兵衛。だが、卓越した才ゆえに警戒と疑惑が身にふりかかる。2014年大河ドラマ「軍師官兵衛」の世界。
【著者紹介】
1909年福岡県生まれ。『点と線』で社会派推理小説ブームを起こし、『日本の黒い霧』では社会派ノンフィクションの先駆けとなった。また、古代史、歴史小説、評論の方面でも創作活動を展開。1992年逝去。
内容説明
「信長様のなくなられた今、あなた様の御運が開けたのでございます。」中国大返しの前に、黒田官兵衛が発した言葉は、かえって秀吉にその野心を疑われることになった。秀吉に信頼を置かれるもその卓越した才智ゆえに警戒と疑惑が身にふりかかってくる名軍師・官兵衛の皮肉な運命を描いた清張異色の名著。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年、福岡県小倉市生まれ。作家。1953年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。『点と線』『ゼロの焦点』などで社会派推理小説ブームを起こし、『日本の黒い霧』では社会派ノンフィクションの先駆けとなった。また、古代史、歴史小説、評論の方面でも旺盛な創作活動を展開した。1992年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
56
大河ドラマは見なかったけど、かつて読んだ史実をなぞる、そんな感じでさらっと読めた。軍師、官兵衛・・まるで姓と氏。さほどに後世でも評される名軍師だろう。史実に味付けをするのは作家の手練手管。清張が珍しくけれんみ感じない味付けで描くこの作品、珍しいことに高校生向けの一作だとか。そのせいか信長ですら、司馬遼で確立した味付け以前の風味になっている。官兵衛の登場を秀吉の中国攻めの時期にし、風にそよぐ葦のような小大名の憂き運命に光を当てていく。有岡城攻め、土牢からの脱却、吉川と清水の最後など何度読んでも妙味を感じる。2015/10/29
sayan
20
高校生用に書かれた本(昭和31年)と知らずに図書館で借りた。単純に、松本清張氏の歴史、それも特定の人物に焦点をあてていることに興味をもったためだ。確かにページ数は多くないが、局面の詳細や、主従関係(義)と多国政治(理)の間で悩み、戦略を立て、そして人間臭く悩む黒田官兵衛の姿は非常にコンパクトにまとまっており小説(…でいいんだと思うけれど)十分楽しめた。確かに彼は書き手によって評価が様々に分かれる。(坂口安吾作)秀吉、家康が恐れたと言われる彼が歴史にどんなインパクトを与えたのか、異なる視点で読むのは面白い。2018/08/08
kiki
13
播州城主の小寺家に使えた黒田官兵衛。毛利方が優勢と見られる中、織田方につく事を進言した。特に目をつけたのが羽柴筑前守秀吉でいずれは天下取りできるほどの力を見抜く。信長の死の際は、秀吉に「運が開けた」と進言して天下取りを実現させた。秀吉が警戒と疑惑を持ったため隠居したが、真の力を発揮すれば天下取りも夢ではない男。この軍師黒田官兵衛の境遇を描いた作品。2017/10/16
なにょう
11
岡田さん目当てで「軍師官兵衛」も視聴していたが、よそ事をしながら流し見をしていたので、この本を読んで、ようやく黒田官兵衛の偉さがわかった。★①「有岡城の幽閉」と「中国大返し」は二大クライマックスだ。①幽閉されて死んでもおかしくなかった。でも復活した。単純にすごい。②中国大返しは成功したからよかったものの。毛利の追撃はあり得たし。官兵衛の頭脳と秀吉の行動力には恐れ入る。2023/06/24
裕由
7
たぐいまれな才能の持ち主。有岡城幽閉は確かに不運だが、軍師の境遇としては不運だったろうか?2018/08/31