内容説明
雪の研究に一生を捧げた、日本を代表する科学者にして名随筆家・中谷宇吉郎のベスト&レア・エッセイを生物学者・福岡伸一氏が集成。学生時代を過ごした金沢の旧家での思い出から科学する心の大切さを説いた表題作のほか、日食や気象、温泉や料理、映画に書道に古寺名刹、戦中戦後の疲弊と希望、そして原子力やコンピュータまで、精密な知性とみずみずしい感性が織りなす、珠玉のエッセイ25篇。
目次
1(雪の話;粉雪 ほか)
2(鼠の湯治;映画を作る話 ほか)
3(室鰺;真夏の日本海 ほか)
4(墨色;古寺随想 ほか)
5(なにかをするまえに、ちょっと考えてみること;機械の恋)
著者等紹介
中谷宇吉郎[ナカヤウキチロウ]
1900年、石川県加賀市生まれ。物理学者、随筆家。理学博士。北海道帝国大学理学部教授となった1932年頃から雪の結晶の研究を開始、1936年、大学の低温実験室にて世界初の人工雪製作に成功するなど、低温科学に大きな業績を残す。また、科学をテーマにしたすぐれた随筆を、数多く残した。1962年没
福岡伸一[フクオカシンイチ]
1959年、東京都生まれ。生物学者。青山学院大学教授。『生物と無生物のあいだ』でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蜻蛉切
31
世界初の人工雪精製など、雪の研究で有名な中谷宇吉郎博士の随筆の中から福岡伸一さんがセレクトしたベストセレクションである。 物理学者としては勿論、名随筆家としても有名な方だが、読んだのは初めて。 かの寺田寅彦博士の指導を受けて、理論物理から実験物理へと方向転換したこと(そもそも最初は生物学や哲学を志向していた!)をはじめて知った。 少々専門的な話も出てくるが、大方は門外漢でも楽しく読める内容である。 亡くなる直前の昭和37年頃のエッセイに「人工頭脳」の話が登場したのには驚いた。 2020/05/01
はるき
25
日本を代表する科学者であり名随筆家。理系の人の文章は固くて読みにくいと思っているので吃驚しました。論理と感情は真逆ではなく実は親和性があるかもしれません。とりあえず、夏は暑い、冬は寒いだけではなく季節を楽しむ余裕を持ちたいです。自然の美しさに感動する感性を磨きたい。2016/12/13
オザマチ
13
偉い先生の本だけど、他人に対しても、学問に対しても、時代に対してもトゲトゲしい部分がまったく無い。中谷先生の本はみんなそう。2017/11/06
pocco@灯れ松明の火
10
読みやすい。中谷宇吉郎さんの心の平穏さ。実験に対する真摯な対応。いいなぁ。2014/12/03
オザマチ
9
若い頃の進路はふらふらさせてもよいが、その時その時で真剣でなければならない。2022/08/23