内容説明
五〇年で、八〇〇〇人もの赤ちゃんを取り上げた助産婦・前田たまゑ。彼女の産婆人生は、神戸の福原遊廓から始まった。堕胎が許されなかった戦前の遊廓、戦時下のお産、戦後すぐのベビーブーム、いつしか主流となった病院出産の時代…世話焼きおばさんの語り部から聞こえてくる助産の歴史は、昭和を背負った女性たちの肉声を伝え継ぐ。『さいごの色街飛田』を記した著者の原点。
目次
母の死、義姉の死産―一九一八~
看護婦見習いの頃―一九三九~
お産の神様―一九四一~
戦時下のお産―一九四三~
お産ラッシュ―一九四五~
産婆から助産婦へ―一九四七~
妊娠しないように教える仕事―一九四九~
産婆と米屋、二足のワラジ―一九五一~
病院出産の時代に―一九五五~
ラマーズ法―一九七八~
わたしの出産記録
著者等紹介
井上理津子[イノウエリツコ]
1955年奈良市生まれ。フリーライター。大阪のタウン誌「女性とくらし」編集部勤務後、フリー。人物インタビューやルポを中心に活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
り
13
タイトルから期待した内容ではありませんでした(見習い時代の産院が遊廓の側にあったというだけで、あまり関係ない)。50年に渡り「産婆さん」をしてきた前田さんから語られる現場。そういえば、今現在の現場のこともよく知らないのだけど、とても興味深かったです。著者の「葬送の仕事師たち」の関連本としてなんとなく手にとっただけでしたが、図らずも全ての人に等しく存在するテーマ。漠然と、「みんな同じなんだなぁ」と感じながら読みました。2018/04/11
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
8
タイトルはちょっと違うかな。産院にとって妊婦さんはお客さんだけど産科医にとっては患者である。お産は病気じゃないのに、日常の延長なのに病院に隔離されてしまったがために病気にされてしまった、治療するものになってしまった。私もこんないいお産を体験したかったなあ。こんな技術を持つ人ももう絶滅危惧種なのだろうな。医学や科学の発達はなくしてはいけないものも滅ぼしてしまった。あ2014/05/14
barabara
4
タイトル詐欺。遊廓は一部分、後はベテラン産婆になるまでのお話。修行中に院長夫人からの意地悪は引き込まれたが(笑)、後は遊廓のドロドロを期待していたので残念。2013/05/16
akinbo511
4
同じ著者の飛田新地取材の本を読んだことがあったので、遊郭の産院の話だけかと思ったら、遊郭近くの産院からキャリアをスタートした産婆の産婆人生の話だった。残念ながら底本の発行も出産後だったけれど、出産前に読んでいたら病院選びの参考になったと思う。ラマーズ法が日本に入ってきたころの話は非常に興味深かった。 2013/04/30
海
3
戦前・戦後を助産師として生きてきたひとりの女性への聞き語り。内容は出産経験のある身としては本当に興味深くて面白かったのに、タイトルがあまり内容と一致していないのが残念。文庫になる前のタイトルの「産婆さん、50年やりました」のほうが的確だったなあと思う。2013/12/22