内容説明
「こころ」とは、内蔵された宇宙のリズムである―おねしょ、おっぱい、空腹感といった子どもの発育過程をなぞりながら、人間の中に「こころ」がかたちづくられるまでを解き明かす解剖学者のデビュー作にして伝説的名著。四億年かけて進化してきた生命の記憶は、毎日の生活の中で秘めやかに再生されている!育児・教育・保育・医療の意味を根源から問いなおす。
目次
1 内臓感覚のなりたち(膀胱感覚;口腔感覚 ほか)
2 内臓とこころ(内臓波動―食と性の宇宙リズム;内臓系と心臓 ほか)
3 こころの形成(指差し・呼称音・直立―満一歳;言葉の獲得―象徴思考 ほか)
4 質問に答えて(夜型の問題―かくされた潮汐リズム;再現について―形態学の実習)
5 補論(胎内にみる四億年前の世界;忘れられた二五時―バイオリズムと眠りのメカニズム)
著者等紹介
三木成夫[ミキシゲオ]
1925年、香川県丸亀市生まれ。解剖学者。1951年、東京大学医学部卒業。同解剖学教室へ入り、1957年、東京医科歯科大学解剖学教室を経て、1973年東京芸術大学保健センター。東京芸術大学教授。1987年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
89
赤ちゃんの成長過程を見つめながら、人間の「はらわた」と「こころ」の関係を解き明かす。オシッコ、おっぱい、空腹感と内臓で思考するところから始まり、宇宙の営みとの関連で生命のリズムが語られる。「四季折ふしの"もの"に、その時々の内臓波動の"こころ"が共鳴する。はらわたの声が大脳皮質にこだまする…」三歳児の指差しから、ミケランジェロ「アダムの創造」へと飛躍する。人類5億年の進化の記憶を内蔵するという自分の「はらわた」と語り合いたくなってくる。2021/05/07
Tαkαo Sαito
69
「これが教養だ!フェア」の冊子で気になって買い、しばらく積んでいた本。少し生物、地学的な内容でしたが分かりやすく、生命の発生〜現在までを理解できます。養老孟司先生のようなみんな読んで分かり、易しく、本質を説いている本の感じがしました。私たち(生物)は宇宙規模のリズムで共振、共鳴しながら生かされており、まだまだ不思議いっぱいの私たちの体、、。 宇宙の先に思いを馳せ、また自分の体を思いやり、これからもう少し自分の体にも目を向けてあげなければと思わせてくれる本でした。2015/02/18
keroppi
65
再読。人間の「こころ」とは、内臓された宇宙のリズムである。子供の成長過程を見つめながら、そこに内臓のこころを感じる。空間も時間も超越し、人間の肉体と心の存在を追求する。何億年の進化の記憶を持つ胎児の成長と内臓は、今、自分の身体の中にもあるのだなと不思議な気持ちになる。また、読み返したくなる本だ。2024/03/25
うりぼう
40
面白い。こういう本が好き。私は、自分の外に対する好奇心と自分の肉体、内側に対する好奇心がほぼ同等だと思っている。内蔵にこころがある。言葉を発する訳ではないが、その事象が自分という人間が、目の前の事実に対して、どう反応し、どう感じているのかを如実に物語っている。頭で受け入れても、動けなかったり、体調を崩したりするのは、真の自分が、魂が、拒否しているのである。それが、内蔵感覚。今回は膀胱感覚と口腔感覚、胃袋感覚の3つ、入口と真ん中と出口の感覚を語る。表紙の絵は38日目の胎児、この日、進化を経て哺乳類の顔となる2013/07/22
T2y@
31
季節と1日、不変の周期を元に進化して来た生物。 人間も同じ、ゆえにカラダ(内臓)は、結局動物と同じ食・性・眠のリズムを持ち続けている。 この本能的なリズムが、考える「あたま」と、感じる「こころ」に繋がっていく。 三木先生の非常に納得感のある説明と事例提示。 女性と月の周期もそう言う事なのかと納得。 体内時計の重要性を再認識す。2014/10/28