内容説明
宮武外骨とは、何者か―明治維新前夜の一八六七年に生まれ、明治大正昭和にわたり反骨反権力を貫いたジャーナリスト。発布直後の明治憲法を揶揄し不敬罪で初入獄。「滑稽新聞」「面白半分」など百二十余に及ぶ雑誌や書籍を発行。筆禍による入獄四回、罰金・発禁二十九回に及ぶ。一九八五年初版の文庫を改題して装い新たに登場。
目次
第1章 大頓智協会ハ讃岐平民ノ外骨之ヲ統轄ス
第2章 庄屋の息子
第3章 操觚の夢
第4章 雌伏七年
第5章 言論のテロリスト
第6章 余は時代の罪人である
第7章 廃姓外骨
第8章 東天紅
著者等紹介
吉野孝雄[ヨシノタカオ]
1945年、東京に生れる。宮武外骨の甥。1980年、『宮武外骨』(河出書房新社)で日本ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だまし売りNo
29
宮武外骨は明治二二年(一八八九年)に大日本帝国憲法発布をパロディ化した戯画「頓智研法発布式研法」が不敬罪に問われて、三年八か月も投獄された。その後も官僚の腐敗を批判し、権力批判を続けた。警察署長の不正などの警察不祥事や悪徳商法も告発した。2022/09/19
ようはん
12
明治から昭和にかけての異色のジャーナリスト宮武外骨を初めて知ったのは家にあったライバル日本史第2巻で取り上げられていたのを読んでからで「滑稽新聞」等の異色のコミカルさが強烈な印象を残した記憶がある。本書は外骨の生涯を詳しく追っており、とかく変転が激しく波瀾万丈の人生であるが吉野作造の外骨評である「偽悪者」という言葉が本当にしっくりくる人物でもあったのは変人の類に扱われがちな外骨と親しかった人物の多さでも分かる。2020/10/16
こまさん
1
明治・大正の時代を、新聞や雑誌という媒体で権力に対抗した男の評伝。特に言論の自由が許されなかった時代にあって、筆禍による度重なる入獄に、罰金・発禁をうけつつも、それすらを風刺しながら反骨精神を貫いた生き方はカッコいい。その後流行した「パロディ」の先駆けともなった存在。2017/03/28
Gen Kato
0
再読。外骨自身が残した数々の強烈な記事からすると、だいぶおとなしめな語り口。2013/08/15
けじ
0
本名を「外骨」に改名までしてしまったところに、明治のアウトローとしての気概を感じる。甥である筆者の、外骨に対する愛情溢れる作品。2013/01/20