内容説明
「殺人ビジネス、始めます。新規開業につき、最初の三人までは、特別価格三〇万円でご依頼お受けします」―左胸にアイスピックを突き立てられた死体の口には、赤いリボンで結ばれたチラシが突っ込まれていた。殺された男の名は…雪平夏見、最も哀切な事件が幕を開ける。
著者等紹介
秦建日子[ハタタケヒコ]
小説家・脚本家・演出家。1968年生まれ。97年より専業の作家活動。2004年、『推理小説』で小説家デビュー。同作は『アンフェア』としてドラマ&映画化され、ベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
220
いやーよかった。これは名作の気がする。犯人は著者のクセからすぐに推測付いてしまうが、これは著者が意図したことと思われる。古典的世界、つまり従前の推理物の多くは、観測者である探偵やら刑事やらが、観測対象である被害者や犯人と見えない壁で隔てられている。本作は量子力学のように刑事と事件がもつれを起こしている。このもつれ具合が面白い。結末付近の謎の描写と次巻の表題から、いやな予感が・・・。2019/03/18
イアン
113
★★★★★★★★☆☆刑事雪平夏見シリーズ第3弾。「殺人ビジネス、始めます」というチラシを口に入れられた状態で、雪平の元夫が殺された。難航する捜査を尻目にフクロウを名乗る犯人は〝ビジネス〟を拡大させていき…。なぜ雪平の元夫は殺されたのか。マスコミを巻き込んだ劇場型犯罪という点では第1弾『推理小説』と同じだが、一人目の被害者が身内という展開にまず驚く。雪平の苦悩や人間味も垣間見れて、ラストが衝撃的なこの作品こそ映像化してほしかった。ところで文庫本P320で由布子が美央の枕元でしたあることって、回収されました?2022/07/18
ALATA
94
「殺人ビジネス、始めます」イブの夜、被害者の口に挟まれたキャンペーンチラシ。容疑者として雪平警部補が連行される。今作は安藤、林堂、平岡と非合法のチームで囮捜査が行われ、いつも通りアンフェアな展開が。刑事として必要があると判断したから撃つ、我が子を前にしての躊躇い、初めて母親としての情が感じられた。たどり着いた悲しい真実に、美央の今後が気になる。★5※終章に近づくにつれ、一章~三章のプロローグを読み返し、入れ子構造のミステリーに関心しきり。平らかな凍てつく雪原に拳銃を構え立つ夏美はやっぱり美しい。2022/09/28
吉田あや
87
「殺人ビジネス、始めます」。くるくると丸め、赤いリボンで結ばれた殺人広告チラシが口に差し込まれた遺体が発見された。その事件を皮切りにフクロウと名乗る犯人の連続殺人が始まる。犯人のターゲットの中には雪平の大切な人も含まれ、切なさと迫りくる殺人鬼の不気味な存在に、雪平のバディになったような気持ちでのめり込んで読み進めた。前後する様々なエピソードが絡み合い、驚きの結末へ。ドラマとのリンクする部分がありながらも、違った展開を見せていく原作がますます面白くなってきた第三弾。2019/08/19
mr.lupin
75
雪平シリーズ、1、2作目を飛ばして3作目を読了と言うか、シリーズ物とは知らなかった。「殺人ビジネス、始めます」フクロウと名乗る犯人の正体は... そして最初の被害者は... 内容もスピーディーな展開で非常に読みやすかった作品だった。最後も衝撃的であり面白かった。このシリーズ他の作品もまた読んでみたい。☆☆☆★★2019/07/18