内容説明
明治維新後、日本は富国強兵・殖産興業、急速に西欧列強に追い着こうと無理に無理を重ね近代化を図った。当然、しわ寄せ、ひずみが、社会のそこかしこに現れる。ここに記述される八大猟奇残虐事件は、いずれも過またず近代日本の急速な欧化の悲鳴であり悲哀であり、陰画である。事実だけがもつ迫真が、その歴史の惨酷を暴く。
目次
稲妻小僧―阪本慶二郎
記憶なき殺人―小林只四郎
小年臀肉切り取り殺人事件―野口男三郎?
まぼろし小僧―西田龍太郎
汚職殺人「鈴弁事件」―山田憲
淫殺魔―吹上佐太郎
説教強盗―妻本松吉
贋造紙幣殺人事件―高橋作之助ら
著者等紹介
志村有弘[シムラクニヒロ]
伝承文学・近現代文学研究者。相模女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りー
9
日本の猟奇殺人は海外に比べると穏やかなものなんだなあ…と、最近殺人博物館というサイトを見て海外の猟奇殺人に明るくなってしまった僕は思う。ニコライ・デュマガリエフとかジャック・ザ・ストリッパーみたいなとんでもない奴はいないのか。何にせよ猟奇と呼ぶにはちょっと拍子抜けの感が否めなかった。ルポタージュというよりは小説仕立てでフィクション的な部分も多く、満足度は決して高くない。2013/09/10
ラルル
1
犯人が逃亡中の行動や感情などは想像で書かれている感が強い小説風、実際の犯罪行為の部分は淡々とした事実報告風で、イマイチ面白みに欠けました。もう少し書き方を工夫すれば良いのになと。ちょっと残念な一冊でした。2012/05/08
呉モヨ子
0
あんまり有名じゃない事件を扱ってるから、新鮮で面白かった。小説仕立てになってるから、ストーリーとして楽しめる。2016/09/16
MIRACLE
0
志村有弘著とあるが、実体は明治、大正、昭和初期の猟奇残虐事件についての八編の実話記事を収録したアンソロジーである。したがって、志村(編)Iとするのが正しい。ただし、少年臀部切り取り殺人のみ、志村が執筆している。しかし、志村の記事も実話の域を出ない。したがって、資料としての価値はあっても、本書から事件についての全体像をつかむことはできない。松本清張の『ミステリーの系譜』(中公文庫)の足元にも及ばない内容だった。2016/04/03
🐾ドライ🐾
0
想像していたほど猟奇的とは思わなかった。4月14日感想を修正しようと思い、他の方の感想を読んでみる。皆さんの感想が的を射すぎて…一冊の本として読むにも評価が低くなる。ネットやWikipediaで済ませてもいいのではないだろうか。2015/04/09