内容説明
「幸田文」の旅をしてみよう―。母の死、父・露伴から受けた厳しい躾、弟の死、継母との関わり…。そこから浮かび上がる「渾身」の姿。作家・幸田文はどのように形成されていったのか。その「作品」と「場所」を綿密に探りつつ、「幸田文」世界の真髄にせまる極上の書き下ろし、待望の文庫化。
目次
幸田文のマッチ箱
母の死から
継母のいる風景
みそっかすの眼
露伴の躾
「おとうと」の色
結婚と性
「流れる」季節
語り口と文体
この世学問〔ほか〕
著者等紹介
村松友視[ムラマツトモミ]
1940年、東京生まれ。慶応大学文学部哲学科卒業。82年『時代屋の女房』で直木賞、97年『鎌倉のおばさん』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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睡
2
若き編集者時代のごく個人的な思い出語りと、ひとかどの作家となった後に描き出す評伝と、二つの面を余すところなく味わえる一冊。書棚の文庫コーナー、そのいちばん上の角に入れて、思い出したらいつでも手に取れるようにしている。そのときそのときで感じる箇所は違っていても、読み返すたびに何かがきちんとしみてくる。「渾身」を生きた幸田文は、縞の着物を好んで着る自らを虎に例えもしたけれど、客人のためにマッチ箱に丁寧に貼った千代紙のように可憐な女性でもあった。かなうことなら、一度お会いしたかった人である。2014/02/12
bunca
1
幸田文自身か、娘の玉さん目線の本人像しか印象になかったので、編集者時代以来の交流という村松氏の第三者の目による評伝は新鮮でした。個人的には若かりし日の三輪明宏さんとの対談が気になります。絹を素肌にまとうことの意味にちょっと赤面。2014/02/25
ペッパー
0
文豪 幸田露伴の二女 幸田文の生涯を知ることが出来る一冊。編集者であった著者村松さんの幸田文とのエピソードが主に書かれた作品かと思いきや、幸田文の作品についての解説がメインで、ちょいと残念。はじまり以外は解説調の文書が続いていくので、文庫本の最後にある解説文が嫌いな私には読み辛い本でした‥ただ、幸田文や青木玉の作品を読んだだけでは知る事が出来ないエピソードも多く書かれていると思うので、幸田文好きな方は必読かもしれません。2015/02/08