河出文庫
増補 地図の想像力

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  • サイズ 文庫判/ページ数 337p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309409450
  • NDC分類 290.38
  • Cコード C0136

内容説明

私たちはいかにして、実際には見たことのない世界の全体をイメージすることができるのか。地図という表現の構造と歴史、そこに介在する想像力のあり様に寄り添いつつ、人間が社会を生きることのリアリティに迫る。「国家」「資本」「近代性」といった普遍的な問題を考える上でも示唆に富む、社会学的思考のレッスン。

目次

序章 帝国の地図―社会が地図を模倣する?
第1章 地図が社会を可視化する
第2章 世界の拡張
第3章 近代的世界の「発見」
第4章 国土の制作と国民の創生
終章 地図としての社会 地図を超える社会
補章 織物とデータベース―地図の成り立ちと社会の行方

著者等紹介

若林幹夫[ワカバヤシミキオ]
1962年、東京都生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は社会学・都市論・メディア論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

11
地図はそれを読むためのコードを必要とする。正確に計測された現代の地図も、デフォルメされた地下鉄の路線図も、木の枝で水路を示すスティックチャートも、それぞれに読み方が必要となる。かつて世界は未知であった。その頃人類は、身近な生活圏を地図にまとめ、かつ想像によって世界の仕組みを描こうとした。そこには、当時の人々の世界観や生活が色濃く反映されている。一方現代の地図はどうか。目に見えるものではない国境線が良い例で、そこにもまた想像力の産物が書き込まれているのだ。目に見えない世界を描くものとしての地図論を堪能。2014/05/12

chang_ume

6
近代論・国民国家論に向かう地図の認識論あるいは存在論。「地図論的展開」とも呼べるような、地図を中心に置いた認識論的枠組みが提示されます。そのうえで地図の備える性質=空間の表象が用意した、「近代」「国民国家」の世界認識が語られる仕掛けです。地図というメディアに関する知識社会学の側面もありながら、「近代」という〈均質〉で〈透明〉な空間編成について地図からの解釈をもっと読みたかったかなとも感じました。近代の世界認識について、地図を通して「身体的」な知覚の次元から解き明かすというか。2018/01/22

ダージリン

5
地図は世界観を反映する。古代から地図がどの様な目的や役割を担い、地図に何が仮託されてきたのかを語っていく。地図に材を採ってはいるが、文明や国家の在り方の変遷や、世界の捉え方といったことが主眼でもある。確かに地図は様々な表現法や使われ方があり、人々のイメージを搔き立てる。面白いテーマだと思う。2019/08/02

nanchara_dawn

4
再読。縮尺1/1の地図など存在しないように、地図は世界をそのまま「写し取った」ものではなく、想像力で以て世界を「表現した」ものである。つまり地図とは、世界に関するテクストなのだ。また「王国」が、王を基準とした国家であり辺境においては主権のありかが曖昧であったのに対して、のちの「領域国家」では地図に引かれた境界線の範囲内に等しく主権が作用することになった(国民意識の醸成)……など、地図と社会の間の意外な、そして密接な関係を様々な角度から考察していく本。面白いです。2010/10/13

hakodadi

2
近代の地図は西欧にあっては国民国家の生成に深い関わりがあるという。確かに人は地図というメディアを通してしか世界を見ることはできないのだから、○○国民という意識を醸成し、国家という存在(税金や徴兵などの強制も含め)を受け入れるには地図が重要な役割を果たしたわけだ。古地図を読み解く上でも、それらが「どういう目的で、誰が、誰に対してメッセージを伝えようとしたのか」をしっかりと押さえる必要がある。2016/09/12

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