内容説明
書評には流儀がある。澁澤流の書評は、時に厳しく時に偏愛的に書物の間を逍遥しながら、簡潔にその要諦を示し、一瞬の独自な世界をつくりあげていく。一九五八年から最晩年の一九八七年にかけて発表されたおびただした数の書評を集大成した本書は、澁澤龍彦による時評とも、澁澤自身の軌跡とも読める。待望の文庫オリジナル・アンソロジー。
目次
日本文学(吉行淳之介『男と女の子』;大江健三郎『日常生活の冒険』 ほか)
日本の芸術・文化その他(東野芳明『パスポートNo.328309』;『天使論』笠井叡著 ほか)
外国文学(『ラディゲ全集』;『アレキサンドリア四重奏』頌 ほか)
外国の芸術・文化その他(瀧口修造編『エルンスト』;『美学入門』ジャン・パウル著(古見日嘉訳) ほか)
快楽図書館・文庫本(フランク・ハリス『わが生と愛』;山名正太郎『ひげ』 ほか)
推薦文・序文(『眺望論』のために;『栗田勇著作集』 ほか)
著者等紹介
澁澤龍彦[シブサワタツヒコ]
1928‐87年。東京生まれ。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ソングライン
16
日本文学、日本芸術・文化、外国文学そして外国芸術・文化に関する書物に対する作者の書評が集められています。膨大な知識に裏打ちされた本の背景の紹介、主題への考察は素晴らしく、時に顔をだす厳しい物言いやエロティシズム、幻想小説に対する偏愛も面白く感じます。読みたい本を探すというより、書評自体を楽しむ内容で、作者は少しやさぐれた、知の巨人という印象です。2021/03/03
yogi
2
携帯を横に置きながら読み続けた読むだけでは賢くなる訳でもなし携帯で調べた色々も覚えてる自信もまったくないが読了後はなんとなく心も頭も少し自分の知らない上の世界を階段であがりきった気になって肩で息をするかのように少し読み方が気になる雁をかりと入れてしまった。確かにそこが気になっていた。が大股開きに釣られてしまった私はウロウロ開き閉じ開き閉じで自分の愚行に気がつき乱行までで開くのをやめた。が待て決して愚行ではないと思い直したが時間貧乏な私は激しく攻めることが苦手なので静かに手を置きじっととめた。2014/10/02
コウみん
1
澁澤龍彦が書いた書評エッセイ。 日本文学と外国文学に分かれてある。 後ろにはエロ文学評論も書いてあり、澁澤龍彦らしいと思った。 特に『ロリータ』は澁澤龍彦の観点が知りたかった。 元々、こんなエッセイを一杯書いていた人だが、これは澁澤龍彦らしい本だと思う。2018/06/29
ハルト
1
まさに豪華絢爛。この本に名のあがっている書物すべてを読破し、手もとに置きたい衝動に駆られる。本質を捉えそれを的確にあらわす見事さには、ただもう脱帽。とてもおもしろく読めた。書評中、足穂の名をことのほか多く散見できたのがうれしかった。2008/10/07
水蓮
0
やっと読めました。澁澤の書籍はかなり体力使うので、気合のないときには読めない。しかしどれも読んでみたいものばかり。やはり澁澤は澁澤でしかありえないんだ。2009/06/28