内容説明
狂気と偽物による幻想の城ノイシュヴァンシュタインを造らせたルドヴィヒ二世。神秘思想を体現した二十世紀の魔術師グルジエフ。数百人ともいわれる幼児虐殺を犯した享楽と残虐のジル・ド・レエ侯。ルイ十六世の処刑を主張した熱狂的革命家サン・ジュスト…。彼らを魅了した魂と幻影とは何だったのか。そして孤独と破滅とは何だったのか。時代に背を向けた異端児達を描くエッセイ。
目次
バヴァリアの狂王―十九世紀ドイツ
二十世紀の魔術師―二十世紀ロシア
生きていたシャルリュス男爵―十九世紀フランス
バベルの塔の隠遁者―十八世紀イギリス
幼児殺戮者―十五世紀フランス
恐怖の大天使―十八世紀フランス
デカダン少年皇帝―三世紀ローマ
著者等紹介
澁澤龍彦[シブサワタツヒコ]
1928‐87年。東京生まれ。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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歩月るな
6
『東西不思議物語』の前口上に澁澤は「不思議を楽しむ精神とは、おそらく、いつまでも若々しさを失わない精神の別名ではなかろうか。」と書いていたが、やはりあの言葉が印象的だったのは、例えばこの書に出てくる人物たちが「子どもらしさ」を失わないまま生きていた事を強い語調で感じるからだろう。ジルドレやルドヴィヒ二世のような。そしてサン・ジュストの項におけるテロリズムの正当化には悩まされ。サドとジュストが学生時代の枕頭の書であった澁澤。彼にとっても「読んでて自分でも恥ずかしくなる古い文章」である事も念頭においておこう。2015/12/23
Royalblue
5
あまり聞き慣れない人物を取り上げた異端人紹介本。とりわけ印象的であったゲオルギイ・グルジエフは、自身が弟子の一人であるウスペンスキーに語った学説、「中心(センター)」という観念は非常に興味深い。概要は人間的本質は七つの核から構成されるといった観念で、その上部を占める二つは潜在意識の中核なのではないかと考えた。人体数多の細胞のうち、扱われていない潜在的能力への言及なのだろうか。グルジェフの学説をもっと知りたいと思った。2016/01/15
Melody_Nelson
4
学生の頃、グルジェフについて少し興味を持っていたことを思い出した。映画「注目すべき人々との出会い」見たなー。今回本書を読んで、こんな人だったんだ…と、改めて知る。彼の著作も読んでみたいが、難解とのことなので無理。 この他に、ジル・ド・レ、ヘリオガバルスなど、異常な残虐性をもった人々が紹介されている。とりあえず、サン・ジュストに関する本と「失われし時を求めて」はいつか読まねば。2019/07/22
ankowakoshian11
3
再読。2025/02/20
ハルバル
3
澁澤偏愛の異端者列伝。時代からはみ出し、自分の感性にのみ溺れる彼らの人生は痛ましく滑稽だが、王候貴族ブルジョアの退廃と蕩尽にはついていけないなと感じた。愚か者に富と怠惰を与えるとさらに腐る。とはいえそういった教訓的読み方は著者の本意ではないだろうが。ほぼ全員ナルシストかホモ(またはその両方笑)なんだが、自分はナルシスト大嫌いなもんで。読んでる分には面白いが、どうも澁澤さんの退廃賛美が合わない。そもそも退廃に意味性を与えること自体が無意味だろう。この中では革命の大天使と大量殺人者とバベルの隠遁者が好き2014/05/07
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