内容説明
「東洋のストラディバリ」の異名をもつ、バイオリン製作者・陳昌鉉。彼は十四歳で韓国から日本へ渡り、差別や貧困を乗り越えながら、独学でバイオリン作りの道を歩んでゆく。日韓両国の戦後史を背景に、世界的な名匠になるまでの波乱の半生を描き、漫画化やドラマ化もされ大きな評判を巻き起こした感動のノンフィクション。
目次
第1弦(故郷、梨川村;父・陳在基と母・千大善 ほか)
第2弦(バイオリンを作る農夫;バイオリンの町、木曾福島 ほか)
第3弦(再び東京へ;三千円の合格者 ほか)
第4弦(東洋のストラディバリ;バイオリンを食べる男 ほか)
著者等紹介
陳昌鉉[チンショウゲン]
1929年、韓国生まれ。バイオリン製作者。明治大学英文学科卒業後、バイオリン製作を独学。76年、国際バイオリン・ビオラ・チェロ製作者コンクールにて全6種目中5種目を金賞受賞、84年、アメリカバイオリン製作者協会より無鑑査製作家の特別認定とマスターメーカーの称号を授与される
鬼塚忠[オニツカタダシ]
1965年、鹿児島市生まれ。アップルシード・エージェンシー代表取締役
岡山徹[オカヤマトオル]
東京都生まれ。翻訳家。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Fondsaule
12
★★★☆☆ 韓国出身のヴァイオリン製作者陳昌鉉さんの波乱万丈の物語。努力すれば夢はかなうと言う事!2018/03/19
HoneyBear
5
世界に誇る弦楽器職人の陳氏だが、ここまで壮絶な経験をされたとは。差別されながら、廃品回収や土木作業などで糊口をしのぎつつ掘っ立て小屋でバイオリン製作をはじめた。それも自己流で。黒人兵や他の社会的弱者たちとの話、韓国での同胞同士の殺戮や母妹が受けた苦難(自身も密告でスパイ嫌疑を受けたが生還)、妻の献身、彼の楽器を評価し支えてくれた教師・奏者たちとの交流などが淡々と語られる。その語り口はこの上なく謙虚で温かい。ミミズの鳴き声などから学んで音作りに生かそうとする姿勢に感嘆。彼の生き様には圧倒され素直に感動した。2014/08/07
水戸
3
物凄い出来事の連続であるのに、感じたのは身を取り巻く方々への感謝と謙遜。 とても誠実な方なのだな。 そして、たび度々出てくる「韓国は私の産みの親であり、日本は育ての親」という言葉。 辛酸をなめた日々で、どちらもを憎む時もあったのではと思うのだけれど、最後までそう言い切れるのは、すばらしいなぁ。2013/10/17
rincororin09
3
激動の時代に翻弄されながらも思いを貫いたヴァイオリン製作者の物語。ご本人の語りを原稿にした本。テープ起こしの職人が途中で何度も涙で中断したとのこと。僕も何度か危なかった…(^^;)2013/02/20
うりきち
3
このあいだ陳さんが亡くなられました。バイオリンの音はどこまで響くのだろう。音楽が国境を越えるなんて理想かもしれないけれど、音楽だけでも人々の心に響いてほしい。2012/03/05