内容説明
十六歳の海ノ口城攻めで初陣を飾った信玄は、家臣団とともに暴虐の父信虎を追放、信濃高島城主の諏訪頼重を滅ぼし、甲斐を平定する。村上義清との抗争、宿命の敵、越後の虎上杉謙信との五度に及ぶ川中島の決戦…。「風林火山」の旗の下、中原を目指した英雄の生き様を、独自な解釈で描きだす傑作戦国絵巻。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年、福岡県小倉生まれ。作家。1953年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。『点と線』『ゼロの焦点』などで社会派推理小説ブームを起こし、『日本の黒い霧』では社会派ノンフィクションの先駆けとなった。歴史小説にも新境地を拓き、現代小説や評論、古代史研究の方面でも活躍した。1992年逝去。『松本清張全集』も刊行され、個人資料館として、小倉城内には北九州市立松本清張記念館が開設されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュラフ
20
松本清張は 歴史小説も書いたのかといった感じ。でも得手不得手はあるのだろう 社会派作品といわれるほどのキレはない。この本は 表題の通りに 武田信玄の戦にあけくれた人生がそのまま書かれている。本論からははずれるのだが、三方ヶ原での一戦。家康は無謀にも信玄に挑み そして完膚なきまで叩きのめされる。家康がまだ若かった頃のことである。リーダーとは勝負に負けてもいいのだな。果敢に強い者に挑み、その実力差ゆえに叩きのめされて、そしてその負けの経験を肥やしにする。若者には負け方というのも大事ということなのだろう。2015/03/18
nakmas
11
図書館で。 現在の考え方に当てはめた感じの戦国もの。 歴史ものを書き込んでいる作者よりも、さらっとしている??いや、正確に言えないけど、でもそんな読後感です。 信虎がなぜ晴信ではなく、信繁を好んだのか。 義信がなぜ勝頼に嫉妬したのか。 この辺が当事者の気まぐれというか、時代の流れとしか言えない、ここはすっきりしない。。2020/01/18
うたまる
3
社会派・歴史物・ノンフィクションなどに定評ある松本清張の武田信玄伝。全3章から成り、それぞれ「父信虎追放の理由」「第4次川中島戦の実態」「上洛時の突然死の真相」に、著者ならではの仮説や解釈を盛り込んでいる。とは言え、執筆は50年代。当時なら斬新さや突飛さに驚いたかもしれないが、信玄研究の進んだ今日では然程でもなかった。という訳で、本の内容で押しにくい河出書房は、”松本清張”の名前で売ろうと考えたようだ。本書のように、これだけ著者名がでかでかと印字されているものは、他にそうは見当たらない。2017/09/14
SEの読本
3
大河ドラマで悲運の勝頼がいたたまれなくなり信玄の本を読んでみた。ここでは勝頼が武勇を轟かせてくれる。信玄の読み物としては頁数も少なく波乱万丈の人生を手軽に味わうことができる。歴史にIFはないが信玄が上洛していれば天下はきっと変わっていたかと思う。2016/01/29
Kaname Funakoshi
1
珍しく清張の歴史物2016/10/04