内容説明
夢を買っていたはずの宝くじが当選した瞬間から、岩井栄介の人生は奇妙に歪みはじめていった。「邪霊が邪運を呼んだのだ」―東洋神秘教団を名乗る妖しげな老人の占い。同窓生の美津子から特異な霊能力を指摘され、栄介は次第に古代と現代の交錯した別世界での神々の闘争に巻き込まれていく。巨匠の奔放華麗な伝奇SF。
著者等紹介
半村良[ハンムラリョウ]
1933‐2002年。東京生まれ。都立両国高校卒。多くの職業を転々とし、1962年「収穫」で「SFマガジン」のコンテストに入選。『石の血脈』で星雲賞、『産霊山秘録』で泉鏡花賞、『雨やどり』で直木賞、『岬一郎の抵抗』で日本SF大賞、『かかし長屋』で柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
santana01
4
一介のサラリーマンが、宝くじの当選をきっかけに異次元の神々の戦いに巻き込まれてゆくという著者お得意のSF伝奇小説。物質文明批判や神学論争的な好奇心を刺激される話題を取り入れるなどサービス精神に溢れるが、展開が遅い上に状況が長々と会話によって説明されたりと小説の流れに乗りにくい。ただ、三十年以上前の作品ながら亜空間での戦いは、現実世界で満たされない自尊心が、オンラインゲーム上で時間と金を浪費することによって全能感を享受しているように見えないこともない。あっけないほどのラストもリアルで戸惑う引き篭もりの感慨。2014/06/06
シロー
4
40年近く前の作品。父の書棚に長らく鎮座していたのを思い出して読んでみましたが大失敗でした。古いということに関しては宝くじの賞金が一千万円が3本しかないとか逆に面白いのですが、単純に作品が駄目です。敵の存在が最後まではっきりせずダラダラと進行。会話も基本的に仲間内だけなので盛り上がりに欠けること山の如しです。著者の半村良さんは「太陽の世界」シリーズとか好きだったんですけどねぇ。今年一番の駄作になりそうです。2012/06/06
かっぱねこ
3
現実世界を巻き込む異次元の神々の戦争。ものすごく低予算で、1960~70年代くらいの雰囲気の実写映像を想像して読んでみると、面白かったですよ。お試しあれ。2013/04/16
朱音
3
伝奇SF。初版(単行本)が1977年ということで少々時代は感じるが、私には逆に程よく懐かしい感じでよし。中学、高校時代よく半村氏の伝奇SF読んだなぁ。ラストのオチ(?)は今一つ。世界観は好きなんだけどなぁ。2011/04/01
あかつや
2
しがない会社員の岩井は夢を買うつもりで宝くじを買っていたら一千万円が当たってしまい、そこから人生が違う方向へと動き出す。宝くじの当選が神々との戦いなどという次元の違う話へと繋がっていく所が実に半村良らしい。豪腕すぎる。そこにつながる変な理屈も面白い。でも肝心の戦いの部分がイマイチ。神の力を振るう主人公たちがゲーム感覚で全然緊迫感がない。それほどの力を得たって話かもしれないけど、そこがキリッと引き締まった際どい勝負だったら小説の印象がガラッと変わってただろうな。ラストも結局は『亜空間要塞』の焼き直しだし。2021/04/14
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