内容説明
19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた…美術専門学校の講師・ユリと過ごした日々を、みずみずしく描く、せつなさ100%の恋愛小説。「思わず嫉妬したくなる程の才能」など、選考委員に絶賛された第41回文藝賞受賞作/芥川賞候補作。短篇「虫歯と優しさ」を併録。
著者等紹介
山崎ナオコーラ[ヤマザキナオコーラ]
1978年、福岡県生まれ。2004年「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞し、デビュー。デビュー作は、第132回芥川賞の候補作にもなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
218
『オレはユリとつき合って、絵だって、セックスだって、ぜんぜん上手くなっていない』。「人のセックスを笑うな」というインパクトのある書名がつけられたこの作品。そこには『二十歳年上』の女性と不倫関係に陥っていく十九歳の少年の日常が描かれていました。独特な言葉選びが唯一無二の雰囲気感を作るこの作品。不倫の影が薄れ歳の差恋愛の色合いが物語を支配していくこの作品。一時間もかからず読み終えてしまう物語には、不倫を年下の男性視点で、かつそれを女性の山崎さんが描くからこそ出せる独特な味わいを感じさせる物語の姿がありました。2025/02/23
夢追人009
202
山崎ナオコーラさんの文藝賞を受賞した話題のデビュー作ですね。まずこの題名は一部の読者を引かせて遠ざける気もしますが、実際には本文にはこの一文は全く出て来ませんし、何となくインパクト狙いだと思えますね。美術の専門学校に通う19歳のオレと亭主持ちの講師で39才のユリとの燃えるような愛の日々。まあ常識的な結末は仕方ないでしょう。公然とバレている浮気男にも親切に接する人の好い旦那さんを無視して浮気を続けられる程に悪い女なんていないでしょうし彼も人生勉強と考えて悪びれず胸を張って前向きに生きるっきゃないでしょうね。2020/01/19
❁かな❁
201
切なくて胸が苦しくていっぱい涙が溢れた。19歳の主人公みるめと39歳のユリの恋愛。淡々と言葉少なに語られていく。多くは語られなくても2人で過ごした時間はとても楽しく忘れ難く本当に好きだったのが伝わってくる。本来は好みのタイプとは違うのに恋をしてみると形に好みなどないのがわかり、大事な人と抱き合えて目覚めて年を越せる奇跡に幸せで涙したり、1日に何度も好きな人のことを考えたり、楽しかったことを思い出して泣いたり…。恋しい気持ちに苦しくなる。「会えなければ終わるなんて、そんなものじゃないだろう」私もそう思う。2017/03/14
忠犬じろレポ
140
内容もあっさりしていてサラッと読めました。19歳のボクと39歳のユリ、年の離れた男女の恋愛(不倫)小説。不倫という言葉は合わないですね。心の描写はあっさり割り切った感じで。掘り下げて考えると凄く深い感じもします。終始ユリに振り回されてる感はありますがね。(^^; 過激な題名は主人公のボクが、神様に対して呟いた言葉なんですね? いやらしくないし(^^; 純粋な恋愛小説なので読んでみてはどうでしょうか。 (2013/4/1)2013/04/01
優希
139
第41回文藝賞受賞作。炭酸の抜けた甘い水のようなぬるい世界が美しかったです。恋とも愛とも言えない不倫関係はセックスによって結びついている。言葉にできない想いが切なくて、泡のように消えていく儚さにも感じました。性を描いているにも関わらず、いやらしさや官能の香りを漂わせなく、むしろみずみずしいと言える作品だと思います。2017/07/26