内容説明
ある日、大阪・西長堀の司馬のアパートに小田青年が訪ねていった。話題は、日本人の思想の中にどれほど海洋が入っているかということだった―そんなふうに出会ったふたりが、時を経て、混迷する戦後民主主義の問題点を、坂本竜馬の意義など、日本の歴史を参照しながら縦横に掘り下げる。市民の視点に立った屈指の70年代論にして、現代を解く鍵がここにある。
目次
我らが生きる時代への視点(ガンジス川の月見;国家という仕組み;開発途上国三つの型 ほか)
現代国家と天皇制をめぐって(国家と社会は相克する;企業ぐるみの国家体制と天皇;維新政府が大統領制をとっていれば? ほか)
「法人資本主義」と土地公有論(日本は「法人資本主義」の国;超近代的なものと古いものの結合;幕末における「法人」への忠誠心 ほか)
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923年生まれ。作家。透徹した歴史観で日本を捉え直す歴史小説で、国民作家ともいうべき位置を占める。1996年逝去
小田実[オダマコト]
1932年生まれ。作家、評論家。世界放浪体験記『何でも見てやろう』がベストセラーになった後、ベトナム反戦の市民運動「ベ平連」を組織
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感想・レビュー
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HIRO1970
72
⭐️⭐️⭐️司馬さんが96年、小田さんが07年、二人共既に鬼籍でありますが、共に私がリスペクトを感じる賢者です。75〜76年に3回行われた本書の対談を約40年遅れで手に入れ拝見する事が出来ました。司馬さんが大正12年生まれの学徒動員、小田さんが昭和7年生まれの戦中派、ともに大阪出身の二人の感じる国家とは、天皇とは、官僚とは、資本主義とは、国民とは。本音が始まるとふたりとも大阪弁丸出しで掛け合いのように持論を展開します。30年後の後書きには小田さんが一方的に嫌味を書いていますが、これもまた一興かと思います。2015/09/29
金吾
26
二人が言いたいことを言っているのに触れるのは楽しいです。資本主義や天皇の話は読み応えがありました。ただ小田さんのベ平連の自画自賛や後書きは興醒めしました。2025/04/01
時代
12
司馬さんと小田さんの対談。お互い言いたいことを遠慮なしに語っており興味深い。今読むと話題がかなり古臭いですが△2024/03/05