内容説明
ミー、さようなら。二十年間ありがとう。父が死んだ時も、夫と別れた時も、私はこんなに泣きはしなかった―。愛猫ミーと過した幸福な日々。命の交わり。その出逢いと別れを通し、ペットを超えた深い絆を描く感涙のエッセイ。
目次
第1章 風の中の子猫
第2章 別れの予感
第3章 新しい出発
第4章 たそがれに向かって
第5章 ミーは光の中に
著者等紹介
稲葉真弓[イナバマユミ]
1950年、愛知県生まれ。73年、『蒼い影の傷みを』で女流新人賞、80年、『ホテル・ザンビア』で作品賞、92年、『エンドレス・ワルツ』で女流文学賞、95年、『声の娼婦』で平林たい子賞を受賞する。著書多数
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感想・レビュー
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梅ちゃん
18
著者がミーと名付けた猫と出会ったのは1977年の夏の終わり。何者かの悪意か悪戯で中学校のフェンスの穴に押し込まれた小さな赤ちゃん猫を引き取り飼い始めた。そして1997年7月25日ミーは死ぬ。この間20年、引っ越し、失業、夫との別居離婚を経験しながらミーと暮らした。 試行錯誤しながらミーを育て、そしてやってくるミーとの別れ。最後は涙が止まらなかった。ウチにいる2匹の猫もいずれはと思ってしまう。その時はしっかり看取ってやらないと。もしかしたら私が先に猫に看取られるかもしれないけど。それはそれでいいっか。 2024/01/16
生ける屍 reading_dead
1
女性作家が愛した猫ミーの物語。とにかく、ミーが可愛い、仕種が愛らしい。そして、著者がミーを想って書いた詩が優しくて暖かい。偶然にも、俺が子供の頃飼っていた猫の名もミー。その子はいつの間にかいなくなってしまったから、幸せに生きたミーを羨ましく思った。老衰で弱り、しかしそれでも必死に生きようとするミーの姿に涙が止まらなかった。どんな生き物にも終わりの時は来る。だからこそ、今飼っている愛犬をより一層愛してあげたいと思う。やはり、動物物は良い。心が洗われる。無垢な可愛らしさは天使だ。2017/12/06
Takashi Kikuchi
1
長い長い幸福の夢を見ていたような気がする。あとがきで述べておりましたが、そんな気がします。ありがとうポン子明日で49日だね。2013/12/29
あかほ
1
なんども、なんども読み返す。いつか来る別れのために。
rodinnk
0
エッセイというにはあまりに美しく悲しい物語。ミーという猫と著者稲葉さんとの20年。ミーへの愛と思慕と思いやりがいっぱい詰まったこの小説を読み終わったあとも、終始膝の上にいた我が家の猫があまりに気持ち良さげに寝ているので身動きできずにいる。愛おしい背を撫で続けながら、いつかくる最期の時を意識して心臓の奥がギュッとした。多分この先も何度となく読み返すことになるであろう一冊。2013/11/30