内容説明
自意識の迷路、背徳の愛、死の美学、殺人と恐怖の形而上学、そして小説の論理的な構成。―優れたミステリ作品の持たねばならないあらゆるエレメントを具えた三島由紀夫の短篇小説のなかから、最もミステリアスな傑作12篇をえらび抜きました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
21
「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜粋」がいい。「殺すことが私の発見なのである。忘れられた生に近づく手だて。私は夢みる。大きな混沌のなかで殺人はどんなに美しいか」三島19歳の作。 「自然と人工、無垢と技巧、現実と観念、三島にとって美は無論、後者にある」(解説より)2015/05/28
マリリン
11
短編12作品のうち、最後の1編は再読。いずれも三島作品ならではの良さがあったが、印象深かったのは「果実」「月澹荘綺譚」、今年は日本文学を多めに読みたいと思うが、本は気の向くままに手にしているのでどうなる事やら。2018/01/01
かぼすけ
10
毎晩寝る前15分に。全10篇。描写の美しさに魅入る。恐ろしいことだと気づいて肝が冷える。でもなんかこの感覚が気持ちいい〜。2010/11/08
稲森
7
硬質で研ぎ澄まされた文章だと思った。三島が19歳の時に書いた「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜粋」の『ただ花が久遠に花であるための、彼は殺人者になったのだった。』という言葉を見て既に完成されているというか早熟さに感嘆した。「朝の純愛」が好き。彼らは人工的だけれど本物で尚且つ純粋で美しい。2012/09/15
氷沼
1
やはり三島由紀夫は何を書いても凄い。この硬質で滑らかな文体、日本語かくあるべしといった感じ。 谷崎っぽい「サーカス」、新青年の作家が書きそうな「美神」、中井英夫が書きそうな「果実」をはじめ、「月澹荘奇譚」「孔雀」「朝の純愛」「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」など、傑作と呼ぶに値する美しい作品群。美に拘った作品を流麗極まりない文体でスララ~っと書いてあり、まぁ美しいこと。特に「月澹荘奇譚」が好きですね。ミステリ寄りの作品をこうやって集めてみても、やはりインパクトデカイですね!2004/09/23




