内容説明
九十年代文学シーンをぬりかえたダブル・スーパー作家が、不遇時代や日々の生活、創作の秘密、フェミニズム観などすべてを本音で語りあいながら、つまらぬ世間をけちらして、読む者をふるいたたせるラディカルにして繊細な対話。
目次
1 なにもしてない馬鹿女の修業時代
2 もの言う太鼓のように
3 ペシミズムと快楽と
4 そして長電話は続く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
16
壊し、崩し、解き放とうとする者である事や、その属していなさ、分類のし難さと言うか、おさまらなさ加減、既存の諸々をとうに超えている事、或いはそれぞれの否とするもの、嫌悪するものが極めて近しく、重なる部分があるのではないかと思う二人。作品は勿論、言葉の分量や感触や速度は真逆とも言えそうな程であるが。決定的な差異と分かち難い共通項が明白になり行く事で結び付く交友の貴重さと面白さ。その場その場で生じる類のもの故にどこへ向かうかどう効くか予測困難な言葉のやり取りのスリリングさが最高に刺激的。測り合い、投げ掛け合い…2021/02/26
あ げ こ
11
蘇るのは『レストレス・ドリーム』に心奪われた瞬間の感覚。これだ!と目を見開いた瞬間の。自分の世界を狭めていた囲いが一気に消滅する様を見た瞬間の、あの高揚。笙野頼子の言葉は快い。凄まじい勢いで流れ、渦巻き、破壊し、救う。その奔流に飲み込まれる快さたるや。同時に松浦理英子の言葉をも堪能出来る贅沢。生真面目で緻密で、繊細な粒の、冷たい輝き。自分の好きな方の松浦理英子。この嬉しさたるや。互いを測りあい、当てはめあい、しかし、測り切れず、当てはめ切れずにいる事さえ楽しんでいるかのような。兎に角終始最高である状態。2016/03/03
橘
8
「何かがわかりたくて小説を読むわけじゃない」に深く肯きました。これで良かったんだ、と思いました。松浦理英子さんは読んだことがあるけれど笙野頼子さんは未読なので読みたくなりました、かなり。おふたりともクレバーで面白かったです。ひとつひとつ訂正していって、でも〜と被せてまたそれを訂正して…のやり取りにヒヤリとするところも正直あったのですが、それでもおふたりがそれぞれ相手の事を好ましく興味深い人だなと思ってるのが覗えて素敵な対談でした。多和田葉子さんは面白いよね、と松浦さんも笙野さんも仰ってる。面白いです。2022/04/27
名前ちゃん
7
松浦さんの、レイプされて傷付いたことを加害者に楽しまれるな、という論にたいして、しょうのさんが、戦略的に生きるのは辛いよ、レイプされたら怒るし泣くだろう、と言っていた、それはほんとにそうだ、被害者の外見的な傷付いた反応で加害者の罪の軽重が決まる風潮を批判したかった、という松浦さんもすごい倫理的この二人に男だの女だの世間のイメージに流されて適当な雰囲気語りで言ったりしたら殺されるね2016/02/28
訃報
5
「ホームレスの五十代のおっさんと美少年の恋物語」を松浦理英子に書いてほしかった…2016/10/30
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