内容説明
幸福とは何か?それは、いっさいの痕跡を残さないまま、地上から永遠に消え去ってしまうかもしれない人生の可能態。いつもキラキラ飛び散って形にならない、幸福の瞬間を記録し、その断片たちを出会わせる、知と愛の宝石箱。
目次
序 月下のサーカス
1 眼のオペラ
2 物質の抵抗
3 文字の炎上
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yunomi
2
初期の中沢新一の批評は、中身なんか無くてもとにかくその流麗な文章だけで最後までもたせてしまう。だから、批評の対象は単なるダシに使われているだけじゃないかと真面目な人達は怒るのだが、その不遜さこそが魅力であったりする。2014/01/20
TANA
1
2012年、晩夏に読んだ。名前は忘れたが、神保町のビルの2階にある古本屋で購入した。おもいだしたときに読んでいる。幸福とは無数の断片なのである。なにかの物体が崩壊して切れ切れになったのでは決してない。はじめから断片として存在し、そして、誰の思い出にも、きっと残らない。だけど、たしかに地球上に存在した断片。それが幸福である
Akito Yoshiue
0
映画評・美術評・書評集。一つ一つが短めの文章ばかりなので、あっさり読了。2014/07/07
馬耳抜
0
映画の話とか面白かったけど、あとがき貴方すごいところから来たなww2010/09/22
びん
0
映画館は行きづらい上に好みの作品がかからない。美術館はみな上の指示にしたがって休館している。小さな作品展など、望むほうが難しい。そんな悲しい日々に小さな喜びを与えてくれる一冊。あの作品をあの本をまた見返したような、未知の作者の展示会に迷い込んだような、豊かで、どこか置いてけぼりにされる感覚を味わった。気兼ねなく美術館めぐりができるようになった日に、私がこんな眼で作品に相対できる気はしない。精度のいい単眼鏡やオペラグラスを通すとこんな世界が見える、のだと良いのだが。2022/02/12