内容説明
失なわれた恋人を冥界に訪ねる眩惑のアンダンテ『ユラリウム』、中立の天使をめぐる至高の〈愛〉のオデッセイ『ルナ』―。島田ワールドの魅力を凝縮させながら、宇宙的スケールで回帰と再生をうたう二大戯曲を集成した待望の1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
23
☆☆☆☆ 島田雅彦の文体、テーマは戯曲と相性が良いと思った。ユラリウムの詩から喚起される映像的なイメージと、分裂し、たたみかけるような戯曲のセリフがマッチして、「何物にも変われるウィルス」のような存在があぶりだされてくる。ルナもユラリウムと共通して分裂症的なキャラクター(ルナや案内人)の存在感(矛盾するようだが)があって惹きこまれた。ただし劇中に出てくるクラシック音楽は果たして効果的なのか疑われる。少し趣味の悪さを感じてしまった。2018/09/27
かっぱ
3
戯曲集。エドガー・アラン・ポーの詩集、ダンテの「神曲」が読んでみたくなった。実際の舞台はどんなだったんだろう。「ルナ」で占い師(大学教授にして超能力者)が魂の探求について語る台詞がよかった。2012/04/21