内容説明
見出されては失われ、失われては見出される〈書物〉―。語る者は語られる者となり、書く者は書かれる者となって、時空間を遙かに超えて行く〈果てしない物語世界〉―。新しい“小説空間”の誕生を告げた会心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
71
どこまでもループしていくような感じがしました。何処かへ堕ちていきそうで、着地点の無いまま彷徨うような感覚。見つけては失い、失っては見つけるの繰り返しの中で物語を紡ぐ側が語られて、書く人は書く側になっていく時空を超えるような物語。作中作と語り手が同じ空間で出会うことで混迷していくのが面白かったです。前衛的で凄い作品としか言えません。2015/11/24
メタボン
39
☆☆☆☆ これは筒井康隆でこそ書けた傑作。巨大化した蚊に喰われ死んだり、人の肉を塩漬けにして食ったり、竜の卵を食べようとして割ったら中から出て来た腐竜に逆に食われたりと、食う食われるのおぞましい関係性が見られる。また輪廻の概念、物語の中に取り込まれていく感覚、物語の断片など、その実験性にも驚かされる。まさに「驚愕」の傑作。2022/11/02
℃
4
読んでいて夢枕漠の「上弦の月を喰べる獅子」を思い出しました。あれは物語を螺旋階段のように登っていく物語でしたが、これはとにかくどこまでも落下していくような話に感じました。2017/10/01
くじらい
4
エンパイアスターっぽいな、と思ったけど別に円環が閉じている訳ではないのが凄い。2017/03/05
Hiroshi Fukuhara
4
個人的には筒井康隆の最高傑作。小説という形式自体を否定するかのような構成。下降していく救いのない世界。失われていく物語。その中で光る残された人間性。ラストの一文が泣ける。
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