感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケロリーヌ@ベルばら同盟
51
昭和63年初版の、このアンソロジーは、ミステリーというより、良い意味でいかにも昭和なおじ様向けの作品群から、アリスっぽい要素を持った短編を集めて来たという印象。世相を反映した七作のうち、不思議の国、鏡の国のアリスを謎解きに絡めた推理小説、海渡英佑氏の『死の国のアリス』、マッド・ティーパーティーの雰囲気がある中井英夫氏の『干からびた犯罪』が特に心に残りました。2021/03/09
harukawani
9
気が向いた時にアリス関連ミステリーを読もうシリーズ第3弾か第4弾ぐらい。ずっと積んでたんだけど、まさかの復刊記念で読みました。「アリス」でも「ミステリー」でも「傑作」でもない作品もあるけど、色々な作風が楽しめて、いいアンソロジーでした。よく分からんのもある中で、海渡英祐「死の国のアリス」が一番オーソドックスな短編ミステリーで良作。小栗虫太郎「方子と末起」は百合ミステリーでなかなか良い。一番「アリス」を上手く使ってるのは中井英夫「干からびた犯罪」で、これまた良作。山田正紀「襲撃」も楽しくて好き。2015/11/26
三谷銀屋
3
不思議の国のアリスのパロディアンソロジー。ミステリーと銘打っているものの怪奇幻想小説も収録されている。どの話も原作の奇天烈さを生かしたユニークな良作ぞろい。中井英夫「干からびた犯罪」は、40年前に恋人が自殺した事件は実は他殺だったのでは? と疑念を抱く女性が真相を探して、かつて恋人と過ごした田端を訪れる。一見ミステリーのようだけど、徐々に白昼夢のような不思議の国に引き込まれていく、よく出来たホラー。小栗虫太郎「方子と末起」は、怪奇味溢れるミステリーで、秘密めいた百合要素もあり、雰囲気が好き。2019/04/01
もぐる
3
あくまでアリスをテーマとした作品を集めることを重視していて、ミステリーにおける謎の方向があまりに違ったためちぐはぐな印象のあるアンソロジーでした。「襲撃」は楽しく読めました。2015/03/25
香々地
0
アリスを題材にした物語アンソロジー。ミステリーものも確かにあるが、全てがそうだというわけではない。襲撃、死の国のアリスのような純粋なミステリーもよいが鏡の国のアリスの、干からびた犯罪のようにミステリーとホラーが混ざっているほうが自分としては楽しめた。アリスの不思議な旅は何を表しているのか考えるのが楽しかったし、不思議の国の殺人は幻想的で頭に靄がかかったような感覚になった。2014/03/11