内容説明
緑の風が吹き抜ける白樺の林を散策する避暑客、テニス・コートに響く若い男女の歓声、爽やかなサイクリングの少女達、そして懐しい教会の尖塔、浅間山の雄姿…見知らぬ人々で賑わう高原の夏に、密かに蒔かれた犯罪の種子が、いつしか芽生えて行く―土屋隆夫・大坪砂男・鮎川哲也・戸川昌子・梶龍雄・内田康夫・大沢在昌・栗本薫の避暑地からの便り。魅力のミステリー紀行シリーズ第6弾!
感想・レビュー
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Tanaka9999
12
1986(昭和61)年発行、河出書房新社の河出文庫。8編。栗本薫『軽井沢心中』栗本薫の現代風俗ものの中では抵抗が少ない作品。最後の心中として死のうと考え実行するのと、苦しくなってしまう部分がいい。しかし、その前の部分は丁寧すぎるほど丁寧な記述。警察は不審死として少しは捜査するだろうが、宿の主人には心中として事情を聞いているんだろうな。内田康夫『シゴキは人のためならず』現在のAIでも到達していないコンピュータ。人間の心理までついた完璧な捜査。将棋AIでも人間の考えを加味したものはまだないというのに。2023/12/26