出版社内容情報
「かつて、わたしときみはまったくの他者だった」。さまざまなシチュエーションで描かれる人間と犬の切なくも優しい物語。
内容説明
わたしが走ると、きみも走った。きみが呼べば、わたしは答えた。さまざまなシチュエーションで描かれる人間と犬の関係。
著者等紹介
タン,ショーン[タン,ショーン] [Tan,Shaun]
1974年、西オーストラリアのフリーマントル生まれ。絵本作家・アーティスト。2006年に発表された『アライバル』はアングレーム国際漫画祭最優秀作品賞を受賞、ショーン・タンの名前を世界に知らしめた代表作。さらに初めて絵と文章の両方を手掛けた絵本『ロスト・シング』を自ら監督し映像作品を2010年に発表すると、翌年の第83回アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞。『遠い町から来た話』でドイツ児童文学賞受賞、アデレード文学賞最優秀賞受賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞受賞と世界的な賞を数多く受賞して全世界で注目された。2011年に初来日
岸本佐知子[キシモトサチコ]
翻訳家。2007年『ねにもつタイプ』で第23回講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
333
ショーン・タン作。この作家にしては長い詞書が随所にあるが、訴求力が大きいのは絵だ。(本書では)一万五千年の昔から犬と人間の間には「深くて暗い河」があった。「誰も渡れぬ」その河を、どちら側からということなく越えたのは何時のことであったのか。タンの絵はひたむきにこの河を描き、そこには互いに圧倒的なまでの孤独がそれぞれにあった。邂逅が横断歩道の上というのは、いささか残念な気もするが、最後のページでは互いの影もあり、光がそこにある。犬を愛するすべての人に…強推薦!2024/08/23
starbro
250
ショーン・タン は、新作中心に読んでいる絵本作家です。本書は、人間と「いぬ」との1万5千年の歴史を踏まえた 奥の深い大人絵本でした🐕🐶🐩 https://uresica.net/items/62dd044b4ba8b4089140bb132022/07/29
やすらぎ
165
人間が不安に陥るとき、いぬは励ましてくれる。いぬが怯えてしまったとき、人間はそっと抱きかかえてくれる。それはいつの頃からなのだろう。暗闇で動けなくなったとき、いぬは導いてくれる。立ち止まって見上げたのなら、人間も視線を合わすだろう。世界がうまく回っていないときこそ、大切な存在が必要なのだろう。そこに川があり、線路があり、深い溝がある。そんなときに人といぬは助け合って生きてきたのだろう。争いの中で追い詰められた人間は、孤独の中で委ねるものを見失ったいぬは、希望を捨てず感じ合えたから、再び巡り逢えたのだろう。2025/03/05
アキ
126
ショーン・タンの絵本。イヌとヒトの1万5千年にもわたる歴史。「かつて、わたしときみはまったくの他者だった。」人間への愛情はあの目を見ればわかる。それは長い時間を共に経過し、培ったもの。今では街に野良犬も見ることはなくなった。人間が作り出した都市という空間で犬が生きるためには、犬が生きやすいように人が配慮する必要がある。私たちが彼らによって救われてきたことは間違いないのだから。犬と過ごした記憶は誰にとってもかけがえのないものであると信じる。そして犬にとってもそうであったと信じたい。2022/09/09
けんとまん1007
125
人間と犬の長い歴史。その関係性を考える。犬への思い。自分の中では、語り合える仲間という表現になる。2022/10/04
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