出版社内容情報
一角獣は、「早くからイエス・キリストを表す記号であったが、同時に死と悪魔を表すものでもあった」。貞節の象徴でもあったが、制御のきかない欲望の象徴でもあった。それは、ヨーロッパの絵画、彫刻、文学、音楽などさまざまの芸術に繰り返しあらわれる「ヨーロッパ精神史上もっとも魅惑的で多価値的な象徴」(ルネ・ホッケ)なのである.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』95頁、より)
内容説明
毒消しの力を持つ一本の優美な角。処女にしか捕まえられない凶暴な性質―ユニコーンとは何ものなのか。ヨーロッパ史上最も魅惑的で多価値的な象徴である一角獣の歴史・イメージの全てを紹介した決定版、待望の翻訳。図版168点。
目次
存在しない獣?
野性の驢馬とカルタゾーン
七十人訳聖書と教父たち
博物学者
東方の一角獣
怪物―怪獣?
神秘主義への道
狩人ガブリエル
目撃者
騎士と貴婦人たちの世界〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ごへいもち
14
貴婦人と一角獣展の前に。クリュニー中世美術館の6面の連作タピスリーの部分だけ2013/04/12
冬峰
3
主にヨーロッパで一角獣という表象がどのように扱われてきたか、についての本。古代ギリシャでの「インドにはこんな生物がいる」って与太話とか、キリストの受難やマリアに受け入れられた神を表すのに使われたとか、エロティシズムとか、角はあらゆる毒を浄化するとか、あの有名なタピストリーの話とか。 いやーでも半分も読めなかったな…一角獣についてのみまとめた本って中々なくて手に取ったけど、言い回しのせいか読みにくくて。2023/04/22
やっさん
3
だいぶ前に何かの書評で読んだ本。オリエント→インド→西洋と広がっていくにつれて、その存在の意味が変わっていくのが面白い。聖書に組み込まれたのは山羊や羊、珍獣としての犀などと間違えられたか。キリスト教徒と異教徒、純潔と欲望、キリストと悪魔などの両義性・多義性があったり角の浄化作用が信じられていたり。たまたま、「ガンダムUC」にも出てきた「貴婦人と一角獣」タピスリーまで出てきて発注者はル・ヴィスト一族という。福井さんこの本(かプルーストなどの著作)読んだのかな?2014/02/22
よの字
0
「イタリアでは、一角獣が純潔の象徴として形象化されたのと同じように、一角獣は純潔とは正反対の意味をもつ象徴としても表現されている。」p154.l52011/04/10