感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
287
エドワード・ゴーリーのオペラ本。プリマドンナは歌姫オルテンツィア・カヴィッリャ。そして彼女の熱烈なファン(たぶん)のジャスパー・アンクル。最初は無名だったオルテンツィアはどんどん名声を獲得してゆく。一方のジャスパーは零落の一途を辿る。そして、最後にその二人の運命が交錯する。なんとも不条理な物語。オペラらしいといえばそうだ。絵はモノクロームの実に繊細な線画。ビアズリーにちょっとだけ似ている。『サロメ』風の表紙といい、誰もが「くるぶし」という名前を持っていたりと、奇妙な要素はたくさん見受けられる。2025/02/09
starbro
186
エドワード・ゴーリーは、新刊中心に読んでいる絵本作家です。 タイトルおよび表紙絵からして不穏な感じ、著者のオペラ愛が凝縮された悲劇的物語でした。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309257495/2024/04/27
☆よいこ
96
ゴーリー絵本。オペラ本。表紙は皿にもった煮凝りの中に男の首が浮かぶ。女は皿を掲げ持ち高らかに歌い上げる。裏表紙は天使の輪のように頭上にレコード盤を浮かべた不幸な男の姿。皿の上の首は裏表紙の男の首なのか▽ジャスパー・アンクルはオペラのチケットを買うために雨の中、夜通し立ち続ける。主演女優が毒殺され、代役の無名女優カヴィッリャは一躍時の人となる。不審死が続く一方でカヴィッリャは成り上がり、ジャスパーは病を得て不幸に陥る。行きつく先は悲劇の惨劇▽巻末に人名の言葉遊び解説あるが難解。どう読むかは読者に委ねられる2025/02/17
ままこ
75
意味不明なタイトル。黒地に映えるブルーが印象的な表紙。歌姫と熱狂的ファン。シュールな不穏さはページをめくるたび漂う。どこまでも報われない愛の不条理ゴーリーワールド。 2024/07/11
keroppi
71
【エドワード・ゴーリー誕生日読書会’25】どんなに苦しくても没落しても推しのオペラ歌手のためなら耐えられる。オペラ歌手は、名声を獲得していく。その二人の対比と、死んでいく人々。そして悲劇的な結末。ゴーリーの繊細で陰鬱な絵は、凄い人生ドラマを読んだような読後感を与える。2025/02/09
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- 和書
- 粘膜蜥蜴 角川ホラー文庫