出版社内容情報
なぜ権力者・金持ちは美術品を収集するのか。窃盗、捏造、改変…美術犯罪学を専門とする著者による、人間の「暗部」からみた美術小史
内容説明
盗む、嘘つく、手を加える。どうして我慢できないのか…。皇帝ティベリウスから石油王ゲッティまで、歴史の中でも特に悪名高い美術品コレクターたちが駆り立てられた言動の数々は決して“虚栄心”からだけではなかった―この分野における第一人者による、“貴重なもの”から“違法なもの”まで、時代を超えた美術品蒐集の本質的研究。
目次
1 古美術品の魅力と魔力―蒐集のはじまり
2 アイデンティティの蒐集
3 「ほんの少しの去勢」―修復と改竄
4 抗いがたい贋作
5 愛人たちの特権―古美術品とのエロティックな関係
6 他者のための蒐集
7 略奪と密輪の歴史―それによって破壊されるもの
8 コレクターによる盗掘と密輪の下手な口実
9 最後に―過去を救うための蒐集
著者等紹介
トンプソン,エリン・L.[トンプソン,エリンL.] [Thompson,Erin L.]
ニューヨーク市立大学ジョン・ジェイ・カレッジ刑事司法大学院の美術・音楽学科で助教を務めている。『どうしても欲しい!―美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究』が初の単著(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
10
美術品に対する欲望に取り付かれた人たちが行った害悪について、専門家が傾向と対策を述べた本。ここで取り上げられるのは、主としてローマやギリシャの彫像。コレクターたちは、手に入れた彫像の顔を削ったり、下品だからと陰部を取り除くなど、酷いことを繰り返したらしい。でもまあ、私にとっては、さほどの興味関心を持てない美術品だから、読んでいてさほどのリアリティは感じない。そして、著者の語る解決方法は、ほとんど実効性のない内容。フェティッシュの欲望の果てしなさに対する解決策があるはずもなし。残念本でした。2017/11/05
ウイロウ
7
ギリシア・イタリアの古美術品蒐集に憑かれた人々の生態や心理を、豊富な資料に基づき古代から現代まで跡づけた一冊。規模の大小を問わず、個人による蒐集という行為が盗掘や密輸を誘発すると著者は説く。そしてある解決策を示すのだが、まるでとってつけたような結論にも見えるのは、先に紹介されたコレクターたちの逸話が面白すぎるせいかもしれない。彫像の性別や素性を変えてしまったり、理想にかなう贋作を進んで作らせたり…。私などその執心ぶりにかえって惹きつけられる。欲を言えば闇マーケットなど直近の事情をもっと詳しく知りたかった。2018/04/12
_apojun_
5
図書館本。 古代の美術品にはこれっぽっちも興味はなかったんだけど、コレクターの心理みたいなものは面白そうと思い手に取ってみました。 とにかく驚いたのは、今見られる古美術品と言われるものの中には、修復士と呼ばれる人の手によって結構なレベルで加工されているものがある、ということでした。 修復士の美学とか所有者の願望や欲によって、性別さえ作り替えられてしまった彫像もあるとか。 後、不正な方法で入手したコレクターの言い訳ってのも、全てに通じる様な気がして面白かったです。2024/06/24
takao
2
ふむ2022/01/10
tekka
2
「古美術品に対する厳しい輸出制限は、贋作の土壌を生む。特定の物体を特別で制限されたものにすると、それを所有したいという欲求があおられるのだ。」2021/02/27
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