内容説明
『黒い太陽と赤いカニ』をはじめ、岡本太郎をめぐる著者のテキストを集大成。第五福竜丸の被曝に触発され、核爆発後の人類の未来を模索して3.11以後もさらに輝きを増す芸術家「岡本太郎」とは何者なのか。
目次
爆発まで
黒い太陽と赤いカニ―岡本太郎の日本(顔のなかの「黒い穴」;お笑いか教祖か前衛か;バタイユと「爆発」;対極主義と「絶対的な引き裂き」;「コジェーヴの日本」への挑戦 ほか)
爆発から
おわりに 太郎と敏子―両者をめぐる、もうひとつの「爆発」について
著者等紹介
椹木野衣[サワラギノイ]
1962年埼玉県秩父市生まれ。美術評論家。多摩美術大学美術学部教授・芸術人類学研究所所員。美術のみならず、戦後日本の歴史なき時空を「悪い場所」として、批評的に挑発しつづける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おだまん
2
2月に聞いた講演会の復習。「芸術は爆発だ!」2019/06/30
とまる
1
岡本太郎の描いた「被爆」は福竜丸に触発されたものだったかもしれない。けれど、彼の最も有名な「芸術は爆発だ」という言葉や、3.11後「明日への神話」にChin↑Pomが原発と見られる加筆をしたことなどが重層的に迫ってくる。「明日へ」という制作当時からみた「未来」には、私たちの「現在」が含まれている。その現代に、岡本太郎をもう一度咀嚼し直す。2012/03/02
46187B
0
岡本太郎生誕100周年にあたる2011年は東日本大震災が起きた年であった。この本は震災前と後に岡本太郎について書かれた文章に彼の岡本太郎評論「黒い太陽と赤いカニ」が挟まれた新装版の本である。この本に限らず岡本太郎評論の本はいつも眼が空転して字面を滑っていく印象があってこの本も例外ではなかったが、面白い箇所もあった。バタイユのヘーゲル理解と岡本太郎の対極主義を比較する箇所はスリリングであったし黒い太陽~の最後の文章にあったこの一文ははっとした。『太郎の作品には、一貫して、この「からっぽ」な感じが存在する』。2015/03/12
dubstepwasted
0
太郎と敏子の関係、残酷すぎて泣けた。2014/01/05
@を
0
ただの評伝に留まらない、著者による現代における岡本太郎の意味の問い直し。その客観性はともかく、読んでてわくわくする。特に太郎が父・一平のマンガに触れながら育ち、現代のアーティストたちに先行して「マンガ体験を先に持つ芸術家」であるとし、<森の掟>などに見られる“笑い”を捉えようとする姿勢はとても面白かった。2012/12/24
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