出版社内容情報
ヘラクレイトスは牛の糞で窒息死、ディオゲネスは息を止めて死ぬ……古今東西の哲学者たちの死に方を通して哲学がわかり、死を学ぶ
サイモン・クリッチリー[クリッチリー,S]
著・文・その他
杉本 隆久[スギモト タカヒサ]
翻訳
國領 佳樹[コクリョウ ヨシキ]
翻訳
内容説明
ヘラクレイトスは牛糞で窒息死、ディオゲネスは自ら息を止め、トマス・モアは晒し首、ルソーは犬と激突死、カントの最期の言葉は「もうたくさんだ」…古今東西の哲学者たちの数奇な死と運命から哲学を学び、生きかた・死にかたを考えるユーモアと叡智にあふれる稀有なる哲学入門。
目次
ソクラテス以前の哲学者、自然学者・賢人・ソフィスト
プラトン主義者、キュレネ派、アリストテレス主義者、キニク派
懐疑論、ストア派、エピクロス派
中国の古典哲学
ローマ人(厳粛にして滑稽)と新プラトン主義者
キリスト教の聖人たちの死
中世の哲学者たち:キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒
ラテン中世の哲学
ルネッサンス、宗教改革、科学革命
(唯物論的あるいは非唯物論的)合理主義者、経験論者、そして宗教反対者〔ほか〕
著者等紹介
杉本隆久[スギモトタカヒサ]
1975年生まれ。法政大学ほか専任講師
國領佳樹[コクリョウヨシキ]
1978年生まれ。立教大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小太郎
14
この本読むと哲学者と言えども人間だな~という感慨と、やはり哲学者の死に方は普通の人とは随分違うものだなあ~という全く別の気持ちが・・・それにしても190人もの哲学者半分以上知らない人ばかりでした(笑)かなりアイロニーに満ちた内容で好き嫌いが分かられるかもしれません。私は大変気に入りました。2019/06/10
さえきかずひこ
11
ソクラテスからドミニク・ジャニコーまで190人の哲学者がそれぞれどのように考え、死んでいったかを書くことを通して、読者に人間の有限性を自覚させ、それを引き受けること=哲学し続けることを促す啓発的な一冊。キケロは「哲学をするとは死ぬことを学ぶことである」と言ったが、なかにはこの命題を批判した哲学者もいる(たとえばアーレント)のは実に哲学者らしいと感じた。また、おのれが死ぬことを思うと、いかに善く生きるべきかということをひとは考えずにはおれないので、そのことについても思索を促す倫理学的な著作でもある。読もう!2019/11/08
gtn
5
牛の糞の中で窒息死した者。自ら息を止めて死んだ者。媚薬を飲んで発狂した後自殺した者等。一つ言えるのは、哲学者といえども凡夫ということである。2018/12/29
smatsu
4
再読。聖アンセルムスによる神の存在証明:我々は「それ以上に偉大なものを考えることができないようなもの」を想像できる。 もしそれが実在世界に存在しないならばそれは「それ以上に偉大なものを考えることができないようなもの」ではない。 なぜなら思考の中にだけ存在するものよりも実際にあるもののほうが偉大なものであるからだ。 さて、神とはそれ以上に偉大なものを考えることができないもののことである。したがって、神は実在する。Q.E.D. うーん、神は何でもありなので実在もあり、と言っているようにしか聞こえない…2021/12/05
田蛙澄
3
哲学者たちの思想の簡潔な説明とともに彼らの死についての考え方やその死にざまを時代順に列挙するという哲学者版人間臨終図巻とでもいうべき著作で非常に面白かった。やはり190人もの死を一気に読むと死がひどく身近に感じられてよい。 ただ何となくの傾向として古代には哲学と哲学者の生や死にざまが密接にリンクしていたのが、だんだんと中世から近代あたりになるにかけて哲学が生き方から単なる職業的分野になって哲学者と生の関係が希薄になってきてる感じがする。しかし現代人にしてはウィトゲンシュタインだけは妙に聖者的。 2020/05/03