出版社内容情報
100年前に起きた歴史上比類のない革命。文学・芸術が先導して築いた「理想の社会」はなぜ矛盾に引き裂かれたか? 白熱の徹底対論
内容説明
ロシア革命は善か悪か?文学・芸術が先導した歴史上比類なき革命!理想社会の建設はなぜ矛盾に引き裂かれた?1917年知られざる真実。
目次
ロシア革命とは何だったのか?
農奴解放からテロリズムの時代へ―ドストエフスキーの父殺し
一八八一年からの停滞―チェーホフと黄昏の時代
革命の縮図―トルストイの家出
世紀末、世紀初頭
一九〇五年の転換―ロシア・アヴァンギャルドのほうへ
一九一七年「ぼくの革命」―マヤコフスキーの運命
内戦、ネップ、亡命者たち
スターリニズムの恐怖と魅惑
ロシア革命からの100年(レーニンとスターリン;雪どけからの解放;ポストモダニズム以後)
ロシア革命は今も続いている
著者等紹介
亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949年栃木県生まれ。名古屋外国語大学学長。ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』の新訳は社会現象となり、プーシキン賞、毎日出版文化賞受賞
沼野充義[ヌマノミツヨシ]
1954年東京生まれ。東京大学教授。『ユートピア文学論』で読売文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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buchipanda3
105
ロシア文学者の二人による対談。歴史学の観点ではなく、ドストエフスキーやトルストイといった作家たちの文学史を切り口にロシア革命の意味を深掘りしているのが新鮮だった。ロシア人が属している民族はスラヴ(Slav)だが、ロシア語でSlovoというのは「言葉」なのだそうだ。言葉の民・スラヴ人にとって言葉自体に霊的な重みがあり、文学が政治や社会へ与える影響は大きかった。革命への情動と文学作の繋がりやロシア人の国民性、作家のこぼれ話が興味深い。ブルガーコフなど革命後の話も語られる。読んだ印象を踏まえて作品を味わいたい。2021/05/08
へくとぱすかる
82
世界史の流れの中で、ロシア革命とはどんな出来事だったのか。19世紀初頭、ほぼ1世紀前からの状況を、ドストエフスキーやトルストイなど、文学史でおなじみの作家を媒介にして対談が始まる。日本人の多くは外から教科書的に知るしかないのだが、当のロシア~ソビエトの中にいた人々が感じたその時代は、普通に思うイメージとはかなり違っていたようだ。西欧とも東欧ともちがうロシアという存在を、そう言われれば、ほとんど知らないことを、いやが上にも気づかされる。世界を単純に二分する図式で考えることは、未来のためにも避けたいものだ。2020/06/06
榊原 香織
30
面白かった。ロシア文学詳しい人にお勧め。 ロシア的霊性ドゥホーヴノスチ、これかな?おそロシアの基2020/10/16
Porco
23
ロシア革命前夜から現在に至るまでの歴史を、主に文学・芸術方面から辿る対談。レベルが高くて、予備知識も足りなくて、ついていけないところも多かったのですが、刺激的な本でした。ロシアという国を捉えるための枠組みは、ユニークで面白い。2018/03/12
A.T
21
帝政ロシア時代に政治、思想的論考を表す手段が禁じられていたために「小説」という形式に全てが投入されていた… ドストエフスキー小説の中心的ドラマ展開以外の多くの登場人物や状況説明に費やされるボリュームが謎だったが納得。世界で初めてテロルを実行した皇帝暗殺未遂事件の只中に「罪と罰」が出版され、「カラマーゾフの兄弟」第1部の完成3ヶ月後に暗殺テロが成功してしまう。ゾクゾクするような社会状況とのリンクが語られ、小説のディテールが再検討される。2024/09/11