出版社内容情報
思想・文化をリードしてきた人類学者が近年の営為を集成しつつ、群島的思考によって新たな挑発を開始するためのマニフェスト。
【著者紹介】
1955年生まれ。東京外大教授、奄美自由大学主宰。文化人類学、批評家。『クレオール主義』など著書多数。
内容説明
座礁し、還るべき故郷も失った現代人よ難破者であることを引き受けよ―支配の歴史から自由になった海=群島から発せられた創世への宣言。
目次
1 震える群島(群島響和社会“平行”憲法;韻律としての抵抗;なゐふる思想;タブロー・グリッサン)
2 沈黙の採集(蜘蛛の音楽;失われた鳥篭;右の眼に聖なる眼帯を;變若水の寄り来る日、遠音を耳に;聴覚のアラベスク)
3 薄墨色の文法(縞模様の闇;頭蓋の蟻塚;偶有性の雨;砂漠のモンスーン)
4 ブラジルとキューバの結婚(境域のハイカイ;カーニヴァルとカーニヴァレスク;混血文化の対位法;中間性の声)
著者等紹介
今福龍太[イマフクリュウタ]
1955年生まれ。文化人類学者・批評家。東京外国語大学教授。「奄美自由大学」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
22
豊穣な詩的イメージの奔流に右往左往する。著者が山口昌男のような書き手から学んだフィールドワーク/フットワークを軸に、沢山読み沢山見聞きして書いた産物が金太郎飴よろしくずらずらと並んでいる。だからどのエッセイも同じような内容にも映るのだが、よく言えばそれだけブレない人であるとも捉えられる。ル・クレジオやエドゥアール・グリッサンの本を読みたくさせられた。彼が持つ死生観にも興味を惹かれる。死を超越した人なのだろうか。奇妙に彼が死に触れて書いたエッセイは明るいのだ。彼のエッセイはスピリチュアルとも共振するのかな?2020/08/30