内容説明
技術の発達を人類の進歩と同一視する〈ホモ・ファーベル〉の神話を排し、象徴的行為のうちに人間性の本質をみる独自の人間観に立って先史時代から近代に至る技術分明の生態を克明に解析するマンフォード理論の集大成。巨大技術主義を痛烈に告発し、人間の側に立つ新しい技術観を提起する問題の書。
目次
人間の精神性
はるか昔の夢の時に
ことばの能力
発見する者と作る者
馴致=栽培化の前段階
庭、家、母
原動力としての王
巨大機械の設計
「文明」の重荷
発明と諸技術
機械化の開拓者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルゴス
1
技術の発達が人間の生活と精神に及ぼした影響を重点的に考察しているマンフォードの代表作の一つ。本書の主な特徴は、機械の概念を拡張して「巨大機械」という概念を提示したことにあるだろう。ピラミッドの建造には、人力と簡単な道具しか使われなかったが、それだけの人間を組織し、労働させるためには強大な権力が必要だった。この権力がピラミッドを建造するための「巨大機械」を組織したのである。古代から近代にいたるまでの人間の歴史を機械と技術の発展という観点から考察した優れた著作である。★★★☆2017/11/27