内容説明
砂糖は世界史を映し出す地球規模の驚くべき物語。単なる食品ではない砂糖が世界の歴史に果たした役割から、人々の健康や環境に与えた影響までを、アジア、欧米、地中海、カリブ海にいたるまで、まさに世界的な視点で語り尽くした名著。
目次
第1章 アジアの砂糖の世界
第2章 西へ向かう砂糖
第3章 戦争と奴隷制
第4章 科学と蒸気
第5章 国家と産業
第6章 なくならない奴隷制度
第7章 危機と奇跡のサトウキビ
第8章 世界の砂糖、国のアイデンティティ
第9章 アメリカ砂糖王国
第10章 強まる保護主義
第11章 プロレタリアート
第12章 脱植民地化の失敗
第13章 企業の砂糖
第14章 自然より甘い
著者等紹介
ボスマ,ウルベ[ボスマ,ウルベ] [Bosma,Ulbe]
1995年、オランダのライデン大学で歴史学博士号を取得。社会史国際研究所(IISH)の上級研究員であると同時に、アムステルダム自由大学で「国際比較社会史」の教授として教鞭をとっており、パリの社会科学高等研究院(EHESS)の客員教授でもある。専門は労働と商品生産の歴史、とりわけ砂糖と国際労働力移動
吉嶺英美[ヨシミネヒデミ]
翻訳家。サンノゼ州立大学社会学部歴史学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たかぴ
6
まさしく砂糖資本主義。人々の欲望と共に成長してきた恐ろしき甘味料。煮沸による精製など工業能力の発達、資本家達によるプランテーション、それを支える奴隷の増加、人道主義の流れや科学による品質改良や代替作物の試み、近代になり国による自国企業の保護やフェアトレード、肥満という問題の見直しなどお腹いっぱい、目を通しただけになった。2025/02/01
オガT
2
なかなか大部な本で、かなり斜め読みしてしまった。それでも砂糖が人類にどう広がっていったかの歴史が垣間見られた。そこには奴隷制度や社会の変容がかなり影響している。最後の方に糖分摂取過多を危ぶみ、近年バランスの良い摂取量表を作る段になって、砂糖製造業界のロビイストたちがそれを阻止しようとしたくだりは、我々の健康というものの基準がこういう業界によって歪められているのだなと恐怖を覚えた。2025/04/02
naoto
2
500ページを越える大著。ただし、内原注で80ページを要しているが。砂糖の商品化の歴史、奴隷制度、業界の過剰摂取評の回避策など内容は盛りだくさん。「全史」の名に偽りはない。アメフト好きとしてはニューオリンズで正月に行われる「シュガーボウル」との関係にも触れてほしかったが、それは著作の趣旨からは外れるから仕方ないかな。2025/02/01
かふん
2
砂糖が単なる甘味料ではなく、奴隷貿易や植民地主義、さらには現代の食文化や健康問題にまで深く関わってきたことが衝撃的だった。特に冒頭部分、砂糖がどれほど重要かを示す際、キッチンにある食品の砂糖の含有を確認したが、ほとんどの食品で砂糖が使われており、砂糖が文化や科学の発展に果たした役割も丁寧に描いている。砂糖の歴史は、まさに人類の欲望と進歩の歴史そのものであり、その複雑さを改めて認識させられた。2025/01/12
たまがぞう
1
砂糖の歴史を全世界的規模で書き上げた本。インドで生産が始まった砂糖が、中国、日本、ペルシャ、エジプトを経て、ヨーロッパに伝わると、欧米の資本家たちにより、西インド諸島やブラジル、ジャワなどでサトウキビ栽培と精糖作業に奴隷を用い、現地の環境を破壊しつくし、甜菜糖が開発されると保護主義に走り、やがてコーンシロップでサトウキビ栽培が廃れ、一方で安価な清涼飲料水で肥満が蔓延する。 砂糖を通して欧米の帝国主義、資本主義の暴走具合が描かれている。2025/03/04
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