内容説明
彼らは何者だったのか。古代オリエント、地中海地域、ヨーロッパの歴史に突如現れ、偉大な足跡を残しながらも、いつしか巨大な文明の陰に埋もれていった40の民族。いまだ謎に包まれた彼らの興亡を、貴重な図版とともに解き明かす。歴史に埋もれた民族たちが、忘却の彼方からよみがえる!
目次
第1部 世界初の文明―前2700年‐前1200年(アッカド人;アムル人 ほか)
第2部 アッシリアからアレクサンドロス大王まで―前1200年‐前323年(イスラエルの失われた支族;アラム人 ほか)
第3部 ローマの登場―前753年‐後235年(トラキア人;エペイロス人 ほか)
第4部 西ローマの没落―235年‐550年(アラン人;ヴァンダル人 ほか)
著者等紹介
マティザック,フィリップ[マティザック,フィリップ] [Matyszak,Philip]
古代ローマを専門とする著名な歴史学者。著書多数
安原和見[ヤスハラカズミ]
翻訳家。東京大学文学部西洋史学科卒業。邦訳されたマティザック作品の多くを訳している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
163
失われた文明や民族の上に現代の人類は立っているんでしょうね。本書に触れられていない絶滅した民族は数多あるんだと思います。日本も少子高齢化が加速すると、100年後には絶滅危惧民族になっているかも知れません。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309229225/2024/06/27
テト
20
今でも様々な民族は存在するが、人類の歴史のなかで独特な文化や性向を持ったものは多く存在して、歴史のかなで消えたり融合してきた。特に古代の民族は文明のなかで記録に残っているものだけでなく、言葉もないものも多く存在していたようで、それが失われたとの本書の記述になっている。古代はギリシャ文明やエジプト文明、メソポタミア、ローマ帝国と歴史で知る、その主役の敵役として歴史を創る立場からの視点は、この時代の理解を大きく広げられた。2025/05/12
k sato
17
「消えた民族」は現代人のDNAを刺激する。紀元前3千年~紀元後5百年の古文書等に記されている40の民族。最古の文明が興ったメソポタミアやエジプト、欧州の民族が解説されている。現中東に存在した民族は鳥肌が立つ。楔形文字を発明したシュメール人。世界初の帝国を築いたアッカド人。中央アジアを席捲した騎馬遊牧民・エフタルのフン族。私の関心を高めたのは学術的証明に至らない論述である。まるで小説のようだ。戦争や気候変動により滅んだ民族がいたかもしれないが、地域に同化したと考えるのが論理的である。消えた民族に会いたい。2024/07/19
RX93
7
以下の4つの時期に分けて消えていった民族を紹介。①前12世紀の崩壊まで②その後鉄器での争い(アッシリア~アレクサンドロス)③ローマ時代④西ローマの没落▼シュメール→アッカド(サルゴン王)→古バビロニア(アラム人ハンムラビ王)→アッシリア→新バビロニア(カルデア人)▼紛らわしい…アムル人、アラム人、エラム人▼イラン系: エラム、メディア、ペルシア▼遊牧: サルマティア人、アラン人▼海の民は崩壊の原因ではなく現象▼ギリシャ:ヘレンの子孫、ドーリア人(ドリス式)、イオニア人▼西ゴート、東ゴート(ゴシック様式)2025/01/26
yasuhiko
7
本書は、前2700年のアッカド人から西ローマ帝国の没落に至るまで、3000年以上の歴史を通じて消えていった40の民族を取り上げた一冊。 これらの民族は決して「滅亡」したわけではない。彼らは、歴史の中でいつの間にか忘れ去られた存在となった。 印象に残ったのはエピローグに記された 「今日の私たちは、この世界がいつまでも続くと思っている。しかし、かつてのアッカド人も同じように思っていただろう」。 という言葉。この一節は、歴史の儚さと、私たち自身もその流れの一部であることを深く考えさせられた。 2024/11/28