出版社内容情報
収容所を脱出したピレツキは、ワルシャワ蜂起に参戦。やがて終戦を迎えるが、非情な運命に翻弄される。彼を突き動かしたものはなんだったのか。世界25カ国で刊行の世界的ベストセラー。
著者情報
イギリスの作家、ジャーナリスト。「デイリー・テレグラフ」紙のバクダッド支局長、ワシントンポストの映像ジャーナリストを経て、著述業に専念。本書は、25カ国で刊行され、世界的ベストセラーとなった。
内容説明
死の工場へと拡大する収容所を世界に知らしめるべく、ヴィトルトは脱出を決意する。ワルシャワに戻った彼を待ち受ける悲劇、そして慟哭の結末へ―。サンデー・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、ブックオブザイヤー!
目次
第3部(デッドライン;書類;熱病;宣言;崩壊)
第4部(衝撃;逃亡;孤独;蜂起;帰還)
著者等紹介
フェアウェザー,ジャック[フェアウェザー,ジャック] [Fairweather,Jack]
イギリスの作家、ジャーナリスト。「デイリー・テレグラフ」紙のバグダッド支局長、「ワシントン・ポスト」紙の映像ジャーナリストとしてアフガニスタンでの活動などを経て、著述業に専念。本書The Volunteerは、25カ国で刊行された世界的ベストセラーとなり、2019年のコスタ賞伝記部門を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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uniemo
21
志願してアウシュビッツに潜入し自ら脱走して生きのびることができたピレツキに興味があり、今までヴィトルト・ピレツキ本人の報告書「アウシュヴィッツ潜入記」、ピレツキの生涯がわかりやすく描かれていた「アウシュヴィッツを志願した男」を読んでいて本作は3作目のピレツキ関係本です。ポーランドの諜報員としてのピレツキの立場を一番描いていた作品だと思いました。大国に挟まれたポーランドの悲劇と愛国心が心に残りました。2023/04/05
DEE
9
収容所内から命がけで報告書をポーランドに送り続けるヴィトルト。しかしその内容を信じようとしない連合国。狭まる包囲網と殺されていく地下組織のメンバーたち。自らの目で見たものを訴えるためヴィトルトはアウシュヴィッツから脱走する。そしてドイツ敗戦後は反ソ連の活動に加わり反逆罪で死刑となる。一人の人間が国のためにここまでできるのか、なのに国は何もしなかったのか。読後のこのやるせない気持ちをどうしてくれるのか?2023/05/20
kaji
3
「目を背けたいけれど、背けてはならない」世界の記憶の書。これは分冊する意味があったのだろうか? 上下巻に分かれているが、下巻なんて本文は200ページしかない、注釈だらけであまり関係のない人物表などいらないのですぱっと一冊にするべきでは。読み終えたときに何とも言えないやるせなさを感じた。ヴィトルトというひとりの人物の物語というより、西側がなぜアウシュビッツの現実を正視しなかったかという世界情勢まで読み取れるのがポイントかも。戦後70年が過ぎたが、いまだあちこちで紛争が続いていることが信じ難い。2023/05/06