内容説明
維新回天最大の立役者の書とは。剛毅、胆略、遠望のひとの、等身大の実像に迫る―。日清戦争が終結したある日、福島県からひとりの教師が、勝に揮毫を求めて屋敷を訪ねてきた。応接した勝は…。剣に学び、禅に学び、父小吉に学んだ誠のひと。その桧舞台・江戸無血開城の舞台裏を、山岡鉄舟のふるまいをあわせうかがいながら徹底追求する、勝海舟実体論。
目次
コンナつまらない商売はないよ
おれは下手だがノー
今ではタント書かないがノー
幻中の幻化
おれなどの書でも海舟流だ
トンと頭を下げ申し候
不抜之業を成さむと欲せば
十五日を期して侵撃の令ありと
百万の生霊を救うにあらざれば
恭順して居るものに戦争を仕掛けるとは如何〔ほか〕
著者等紹介
草森紳一[クサモリシンイチ]
1938年、北海道生まれ。評論家。慶應義塾大学中国文学科卒。編集者を経て文筆家に。中国文学、日本文学、写真、マンガ、広告、ファッション、建築、美術、書道、散歩…まで多岐にわたるジャンルを博捜・横断する。1973年、『江戸のデザイン』で毎日出版文化賞受賞。2008年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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古古古古古米そっくりおじさん・寺
62
草森紳一という人は文筆家として尊敬されている人だが、あまり読んでいなかった。小説『歳三の写真』という佳作を読んだぐらい。本書はある雑誌に幕末の書に関する連載をしていた中から勝海舟に纏わる部分を採録した1冊。面白い。江戸無血開城の真相を明治以降の文献からたくさん引用して推理している。山岡鉄舟の偽書を出している安部正人は勝についても同様の偽書らしき本を出している。草森紳一も山ほど引用しながらも要所要所でウッスラ疑う。なのにまた引用して推理するので、草森さんも微妙な評論家ではある(学者ではないから仕方ないが)。2019/08/05
怠
1
江戸っ子のヒーロの座を欲しいままにしている海舟だけれど、そのねちっこさとほら吹きぶりが玉にきず。要所要所の大一番で天才的な役回りを演じているように見えるのに、口が災いしているのか、あるいはその「口」でもって造り上げた自作自演の美談なのかが解りにくくなっているのが悲しい。この本の最終章で触れている鉄舟との間のエピソードは知りませんでした。実際のところは解りませんが、こんなことを書かれてしまう海舟にがっかりするやら、可愛そうやら。2013/06/27
Hiroki Nishizumi
1
海舟そのものより泥舟、鉄舟の方に興味があるので、彼らとの比較が参考になった。2013/02/23
onepei
0
勝海舟はつかめない人だと思った。本自体はまどろっこしい。2011/09/04
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