内容説明
マリー・アントワネットに愛され、その華麗なる肖像画のほぼすべてを手がけ、数々の貴人たちを描き続けた稀代の肖像画家。革命のパリを生き抜き、ヨーロッパを放浪した一人の女性の生涯を鮮やかに描き出す、本邦初の傑作評伝。
目次
はじめに―忘却のかなたから
第1章 マリー・アントワネットの宮廷画家
第2章 パリ燃ゆ
第3章 イタリア放浪
第4章 サンクトペテルブルクへ
第5章 帰郷
著者等紹介
石井美樹子[イシイミキコ]
1942年生まれ。津田塾大学大学院博士課程修了。1974~78年、ケンブリッジ大学大学院で中世英文学・演劇を専攻。文学博士。現在、神奈川大学外国語学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
41
彼女の生涯のみでなく、革命についても頁を割いているため、かなり駆け足で波乱の人生を綴っている。誰もが「やめときゃいいのに」と言っただめんず夫との結婚や、手塩にかけて育てた娘との離反など、彼女個人にスポットを当てればドラマティックだと感じる要素はいくつもあるのに、彼女が訪れたヨーロッパで出会った人々、頼まれて描いた肖像画を広く浅く紹介するために、それぞれのエピソードの深彫りはされていない。彼女について知りたくなった方は、入門編として、もう少し詳しい評伝を探してみては。2017/04/26
マサキ@灯れ松明の火
12
マリーアントワネットの宮廷画家と呼ばれた女性ルイーズ。石井先生‥見事なほどの駆け足で、流浪の画家の生涯を描かれましたね(汗)当時の女性は…男性の付属物的な扱いをされておりましたが…ルイーズも放蕩者で女好きな旦那様ルブラン氏に振り回されておりましたね…愛娘のジュリー嬢、育ってみたら、性格は父譲りですか?ルブラン氏、ジュリー嬢…母の絵の才能に頼り過ぎですね(汗)レポートを纏められるか…不安な…(黙)2013/09/25
ゆうゆう
7
アントワネットの展示では欠かす事の出来ないルブランの生涯。革命の波に揉まれ、ローマ→ウィーン→サンクトペテルブルグ→モスクワ→ベルリン各地を渡り歩いた12年+ロンドン→スイス。女性で王立アカデミーに入り王妃付の画家という栄誉も瞬く間の出来事だったことだろう。当時の女性でもここまで旅を重ねた人はいなかっただろう。87歳まで生き、時代の変わり目を見届けた。回想録、機会があればぜひ。2016/12/20
yuya
6
ヴィジェ・ルブランを知ったのは損保ジャパンでのウフィツィ美術館展のパンフレットの絵になっていた時のこと。それから三菱一号館美術館でのルブラン展、パリではルーヴルやヴェルサイユでも彼女の作品を見てきて、大ファンになりました。あまり有名な画家ではないかもしれませんが、彼女の絵にはどれも引き込まれるような魅力があり、全ての絵に共通して美しさを感じることができます。全世界に作品が散らばっているので、1枚でも多くの作品を見れればと思います。2018/05/13
mimm
4
マリーアントワネットの宮廷画家として、フランス革命を目の当りにし、その後亡命、筆一つで国々を渡って生き抜いた女性画家の生涯。 マンガ「ベルサイユのバラ」で馴染んだ人物たちの、本当の姿(肖像画)が見られて嬉しい一面も。 フランス革命の生々しさは恐ろしく、貴族目線で見ているのでよけい残酷窮まりない印象。一生を通し上流階級の人とだけ交流してきた画家さんですが、作品になんらかの暗喩や風刺を含まない(と思われる)点において、そのままの人物を見られてかえって良かったのかも、と思ったり。 実物を見に行きたくなりました。2013/06/22