出版社内容情報
アウシュヴィッツ収容所で、同胞たちの遺体を焼却棟で焼く仕事を強制された特殊任務があった。ユダヤ人生存者がその惨劇を克明に語る。
内容説明
収容所に入れられたユダヤ人の私がやらされたこと…。戦後初めて克明に語られる「特殊任務部隊」の衝撃的な体験談。
目次
第1章 収容前―ギリシャでの生活
第2章 アウシュヴィッツでの最初の一か月
第3章 特殊任務部隊―焼却棟
第4章 特殊任務部隊―ガス室
第5章 反乱と焼却棟の解体
第6章 強制収容所―マウトハウゼン、メルク、エーベンゼー
著者等紹介
ヴェネツィア,シュロモ[ヴェネツィア,シュロモ][Venezia,Shlomo]
1923年、ギリシャのテッサロニキ生まれのイタリア系ユダヤ人。21歳のときにアウシュヴィッツ=ビルケナウに強制収容され、特殊任務部隊で同胞の遺体処理という地獄の体験をする。本来なら収容所解放前に抹殺される運命だったが、奇跡的に逃れて生き延びた数少ない生存者のひとり。1992年からこの惨劇を広く伝えるために講演活動を始め、現地へも研究者や政治家などとともに50回近く訪れている
鳥取絹子[トットリキヌコ]
1947年、富山県生まれ。フランス語翻訳家、ジャーナリスト。お茶の水女子大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
98
まだ、21歳の意志が強そうな瞳をしたシュロモ氏。そんな彼がアウシュビッツで体験した事は、彼の魂を永遠にあの場所に閉じ込めることだった・・・。ガス室で殺されたユダヤ人たちをナチスではなく、同胞が処理した事実。『サウロの息子』を観た時にも感じた、心を冷えた手で掴まれ、指先から徐々に血の気が失せるような衝撃に襲われる。何故、床屋や歯医者であるかと聞かれた理由の余りに非人間的な合理性に慄くしかない。始終、感情を失わないと読めなかった中、自分達を虐待したポーランド人の看守が私刑された時、喜んだという証言に涙が流れた2019/03/24
鈴
29
ここまで詳細に語られている本を読んだのは初めてだ。著者本人が批難されるかもしれない事まで包み隠さず書いてあるので余計にリアル。強制労働をさせられる人と、そのままガス室に送られる人と分ける「最初の選別」。これが、ガス室送りが8割以上だということに驚いた。2014/08/16
りん
21
出会えて良かった!アウシュビッツの本は何冊も読んできたのと、バーチャルで訪問したり(直接の訪問はまだ)、現地ガイドさんと交流をしたりと色々と勉強してきたつもりでしたが、知らないことが沢山ありました。衝撃だったのは、近くの農家がガス室に改造されていたことです。ガス室の特殊任務に携わっていらっしゃったシュロモ氏の強要された仕事の数々があまりにも凄惨すぎて人間の所業とは思えません。戦争になったら、このときの悪魔のようなドイツ人のように無慈悲なことを私たちも犯してしまうのかもしれないと思うと人間が恐ろしいです。2022/12/24
♪mi★ki♪
21
ホロコーストのガス室大量虐殺の後始末をさせられ、一定期間が過ぎると証拠隠滅の口封じの為に殺されていた「ゾンダーコマンド」。その中から生き延びたイタリア系ユダヤ人の貴重な体験談。映画「サウルの息子」を観る前に読んでおくのがオススメ。2018/12/01
ふろんた2.0
21
アウシュヴィッツ収容所で、同胞をガス室に送り、遺体を処理するという特殊任務を行っていたユダヤ人の生存者によるインタビュー。何があったかは知っていても、どのように行われたかまでは知らなかったが、ここまで知る必要があったのかとも思う。感情を殺してでないと読めない。2014/09/10