内容説明
大正政変後の激動のさなか陸軍大臣となり、憲政確立のため一身を省りみず「軍部大臣現役制」の改正を決行し、陸軍の総意に背いたとしてその地位を逐われた木越安綱。明治陸軍の栄光に生き、帝国日本の命運を暗示した木越中将の全生涯を発掘する労作。
目次
第1章 士官生徒
第2章 ドイツ留学
第3章 桂師団長を補佐して
第4章 軍政の中枢へ
第5章 満州転戦
第6章 非運の陸軍大臣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
10
ほとんどの人は知らないだろう、大正の陸軍大臣木越安綱。しかし、政治上では「軍部大臣現役武官制」を改正するという、重要な事柄をやってのけている。本書はそんな木越の伝記だが、木越その人の人物像より、時代の解説が多い気がする。史料の制約でやむを得ないのかも知れないが、木越の人間的な面がイマイチ分からない。しかし、大臣時代に大変な苦労をし、報われるところ少なかったのは理解できた。この一番重要な時代の木越の心情を証明する史料がほぼ無いのはとても惜しい。それもまた、理知的で子分を持たなかった木越の特徴だろうか。2018/11/02