出版社内容情報
【目次】
内容説明
パラレルワールドから来た元恋人と、彼女の世界にないものを探す「自撮り棒のない世界」、一度使った言葉が次々と消えていく「メソポタミア人の地獄」、世界中の人間一人ひとりに自分だけのソウルメイトを生み出す計画の行方は…「ソロ」、若い経営者とその父の朝の出来事をめぐる「オートコレクト」、地球を訪れる宇宙人をガイドして〈命のつぶ〉を受け取る「ガイドツアー」など。ユニークな想像力とユーモアで見えない真実を浮かびあがらせる短篇集。
著者等紹介
ケレット,エトガル[ケレット,エトガル] [Keret,Etgar]
1967年イスラエル・テルアビブ生まれ。両親はともにホロコーストの体験者。兵役中に小説を書き始め、短篇集『パイプライン』(1992)でデビュー。絵本や映像作家としても活躍。2007年には『ジェリーフィッシュ』で妻のシーラ・ゲフェンとともにカンヌ映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を受賞している。テルアビブ在住
広岡杏子[ヒロオカキョウコ]
1982年、東京生まれ。翻訳家。英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)ヘブライ語・ユダヤ学部卒業。エルサレム・ヘブライ大学RIS修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
蝸牛
22
著者のエトガル・ケレットはイスラエルの作家で、ご両親はホロコーストを生き延びて出会ったという。その来歴を別の記事で知り、図書館でこの本を手に取った。ちょうど最近キプロス島を旅しており、海の向こうにイスラエルが見えていた。地理的には近い場所が、歴史や現実の重みで隔てられているように感じられ、その距離感が読書の背景にあった。 作品では、第一話のパラレルワールドがとりわけ印象的で、現実を少しずらして見せることで、かえって現実そのものを強く意識させられたと思う。自撮り棒は伏線ではないのかな?2026/02/07
ズー
22
大大大大好きな作家さん。そろそろ新作読みたいなと思っていたら出た!なんというタイミング🥰。相変わらずどの短編も最高。あとがきに著者自身がこんな暗い話ばかりになってしまったけど大丈夫か?と思ったらしいんだけど、確かに終末とか死とか、テーマは言われてみれば暗いけど、相変わらずそんな暗いことはなく、どこかコミカルだったり風刺が効いてて面白かった。最新作なだけに、コロナとかAIの存在が今っぽくて、どんな状況でも人間らしさを忘れない所がこれら短編のいかなる時もどこか温かい理由なのかなと思った。2025/10/31
マカロニ マカロン
20
個人の感想です:B。著者はイスラエルの作家で、2024年の出版なので、ガザ地区でのハマスとの戦争真っ最中に書かれている。そのため、本作はかなりキナ臭くもあり、死臭の漂う作品も多い33作の短編集。「犬には犬を」はユダヤ人の子どもたちが愛犬を車ではねたアラブ人らしき男に復讐を企てる話。他にもシリア兵との銃撃戦の場面がでてくる「カラダにいい煙草」(大麻煙草のこと)などもあるが、著者の立場は一方的にユダヤ人寄りではなく、割と俯瞰した目で眺めている。カバー絵のリスの話は死の影はあるが、割とユーモラスな印象を受けた2026/04/28
フランソワーズ
19
バラエティに富んだ掌編・短編小説集。現代のものや近未来的なもの、シニカルであったり、哀感が漂うラストであったり、作者の才人ぶりが感じられる小説ばかり。お気に入りは、表題作、『モダンダンス』、『ディレクターズ・カット』、『後悔、ゼロ』、『すべてを手に入れた女性へ』。2026/01/16
きゅー
14
『突然ノックの音が』に比べるとだいぶ落ち着いてしまったような印象。アイデア一発勝負の短編を同じレベルで書き続けるのは難しいのだろうと素人感想。そうは言いつつも冒頭の『自撮り棒のない世界』のようにSFチックで、コミカルで、ちょっと寂しい。つまり優しさの物語が何篇もあって、ケレットらしさは健在。物語そのものからは離れてしまうけれど、いまのイスラエルにおいて彼のようなリベラルな左派の存在は貴重だ。優しい未来を描ける彼のような人たちが、過去を超克していくことを信じたい。2025/12/12
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