出版社内容情報
〈僻地〉からリオにやってきたマカベーアは自分が不幸であることを知らなかった。ウルフやマンスフィールドと並ぶ巨匠の代表作。
内容説明
荒地からやってきた北東部の女・マカベーアの人生を語る、作家のロドリーゴ・S・M。リオのスラム街でタイピストとして暮らし、映画スターに憧れ、コカコーラとホットドッグが好きで、「不幸であることを知らない」ひとりの女の物語は、栄光の瞬間へと導かれてゆく―。生誕100年をむかえ再評価著しいブラジルの伝説的作家の遺作にして最高傑作。
著者等紹介
リスペクトル,クラリッセ[リスペクトル,クラリッセ] [Lispector,Clarice]
1920年、ウクライナ生まれ。ユダヤ人迫害から逃れ生後まもなくブラジルへ移住。1943年、デビュー作となる長篇『野生の心の近くに(Perto do Cora〓〓o Selvagem)』が高い評価を受け、グラッサ・アラーニャ賞を受賞。結婚ののちスイス、イギリス、アメリカで16年間にわたる海外生活を送り、1959年に別居しリオデジャネイロに戻る。1977年、57歳の誕生日を目前にして死去。遺作となった『星の時』(1977年)は、1985年に映画化され、ベルリン国際映画祭で銀熊賞女優賞を受賞した
福嶋伸洋[フクシマノブヒロ]
1978年、新潟県生まれ。共立女子大学文芸学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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buchipanda3
124
装丁が素敵すぎる。ブラジル人作家である著者の魅惑的な顔が金色に煌めく星空の中に浮かぶようにコラージュされているのか。本体も含めピンク色がチャーミング。中身も負けじと読み手に訴えかけてくる。描かれるのは著者と同じ貧しい北東部から来た女性。宝石ではないただの石でしかない存在だとして、その悲しき姿を物語る。敢えて男の語り手で力強く奇妙に。頭の中から溢れ出るような赤裸々な言葉に取り込まれ、もう息継ぎができないと思ったら語り手が息継ぎさせてくれるユーモアも。そして女性と語り手が重なり合う尊い祈りと現実に感じ入った。2021/04/14
どんぐり
76
ブラジルの作家が書いた小説。語り手によって語られる「物語内容」が「物語」という構造になっている。物語を理解するのに追いつけず、思わず「クソッ!」と叫びたくなる。語り手が勝手に自分の頭の外でしゃべっていやがる。これは読み手にはストレス。全然面白くない。日本翻訳大賞って、きっと本嫌いを増やすために設立されたにちがいない。よく考えよ。2023/11/09
NAO
59
一人の女性が恋愛し、振られ、その後車に轢かれて側溝に落ち、命を落とす。何の取り柄もない女性のどちらかというと悲惨な人生。そんな彼女にも、幸福な瞬間があった。そんな幸福な瞬間とは、どういうときだったのか。『星の時』はロドリーゴという作家がこの女性の話を書くという物語なのだがロドリーゴ自身の物語でもあるという奇妙な構造になっている。女性の話が始まるまでの前振りがとにかく長いし、マカベーアの物語の最中にもたびたびロドリーゴの考えが入り込んでくる。そのためか、短い話なのにとにかく読みにくかった。2026/01/28
ケロリーヌ@ベルばら同盟
54
「北東部から来た女の子」処女で無害で、いなくなっても誰も困りはしない女の子の物語を、「ぼく」裕福で退屈で、歯痛に悩まされていて、スノッブを恥じる若者が創作する。という、クラリッセ・リスペクトルの絶筆。まるで卵のような、脆く不安定な3重構造。夜空に輝くことなく地に果てる小さな星への挽歌。2021/05/22
ヘラジカ
54
『カーニヴァルの残りもの』以来のリスペクトル。自分が不幸であることを知りもしない純真無垢な少女、醜く誰からも顧みられない存在を、これまた独特な自意識を持った語り手が吟遊詩人のように高らかに歌い上げる。ありふれた悲劇に神話のような荘厳さが備わった作品。思弁的と言われる他の中長篇作品も是非読んでみたい。2021/03/27




