出版社内容情報
ソ連崩壊後のロシアを舞台に、特別な力を秘めた7冊の奇書をめぐり、「図書館」同士の戦闘が始まる。ロシア・ブッカー賞受賞。
【著者紹介】
1973年ウクライナ生まれ。現代ロシアを代表する作家の一人。2001年、『爪』でアンドレイ・ベールイ賞受賞。2008年、本書でロシア・ブッカー賞受賞。ほかに、『パステルナーク』など。
内容説明
手づくりの鎧兜と殺人用の武器を身につけた読者たちが、おのれの全存在をかけて血みどろの戦いを繰り広げる驚異の物語。ダークな想像力と物語性をあわせもつ新世代のモンスター誕生!!!ソ連崩壊後の世界に生きる人々を活写した驚異のスプラッターノヴェルとして、賛否両論ありながらロシア・ブッカー賞を受賞した問題作、ついに邦訳なる!!!
著者等紹介
エリザーロフ,ミハイル[エリザーロフ,ミハイル] [Elizarov,Mikhail]
1973年ウクライナ生まれ。大学卒業後カメラマンなどを経て、2001年、中短篇集『爪』で注目を集める。表題作「爪」でアンドレイ・ベールイ賞候補に。2008年には『図書館大戦争』でロシア・ブッカー賞受賞。暗い想像力と前衛的な文学性をもつ新世代の作家として高く評価される
北川和美[キタガワカズミ]
ロシア語通訳・翻訳者。東京大学大学院修了。専攻は現代ロシア文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
99
本や図書館が題材で、何、このバトルロワイヤル。魔力を持つとされる本が、内容的にはソ連のプロバガンダにしか役に立たないつまらない駄作と言うのも皮肉だ。こんな本なら出会いたくないと思ってしまった。旧ソ連以外の国の人が読んでも、同じことになるのかな。2016/12/26
藤月はな(灯れ松明の火)
77
枚方オフ会での戦利品。変態作家を生み出したロシア(褒め言葉です)にも匹敵する期待の作家がウクライナから登場しました。表紙も血塗れのピザカッターらしきもの、裏表紙はパズルのように組み替えられた狼の頭部という不穏さ。人の心、世界を支配できる「本」を巡る図書室の血で血を争う闘い。そこに秘められたのは今まで「悪」として描かれたソ連時代への愛憎と郷愁、敬意、共同体愛である。それをホラー&ゾンビ映画にも匹敵する程の拷問、殺戮、口から脳漿や内臓をぶちまける最期などのスプラッタの数々で笑えるようにしながら軽やかに描く。2016/07/02
ヨコツ
55
主人公は自分大好きニート、ヒロインは40から70代、登場人物の半分が老婆。このあたりで『図書館戦争』のイメージも払拭できたんじゃないでしょうか。そりゃそうです、こっちは「大」戦争ですからね。首だの腕だの身体のパーツも気軽に吹っ飛ぶくらいスケールが違う。ピンチになった主人公を助けてくれるのはいつもごっついおっさんか屈強な老婆です。想像のナナメ上を行くのは戦争シーンだけでなく、図書館といいながら出てくる本が七冊だけだったり、こんな表紙で内容はダークなソ連讃歌だったりとやりたい放題。あなどれない怪作でした。2015/12/09
昼夜
46
こんな図書館は嫌だと声を大にして叫びたい。図書館にある本は作家1人の本だけで現存する本は少ない。その本には何か魔力的な力があるが書かれている内容には関係ない。図書館はその作家の本を奪い合い殺し合う戦闘集団である。第1章を読み終わってロシア文学の難解さと陰鬱な雰囲気にこの本は嫌いだ、読むの止めようと思ったけど、取り敢えずもう少し読んでみよう。うん、やっぱり嫌いだ。でも、なんか続きが気になるの繰り返しで凄く疲れた。翻訳者さんもそんな感じで日本語にしていたらしい。あと書きを読んで凄く共感して笑ってしまった。2016/01/29
りつこ
45
アレクセイが徐々に司書らしくなっていくあたりは大変面白かったのだが、後半は疾走し過ぎて失速してしまった感が。しかしなんだなー、頭おかしいな。ソローキンといい、この作者といい。自分で積み上げた世界を徹底的に破壊し尽くさないときがすまないのだろうか。勢いよく読み終わったものの、おいてけぼりを食った感じは否めず。でも面白かった。なんだこれ。2016/02/03