出版社内容情報
ボストン近郊の大学都市で、価値観の異なる二つの家族が衝突しながら関係を深めていく。21世紀版「ハワーズ・エンド」の傑作長篇。
【著者紹介】
1975年ロンドン生まれ。デビュー長篇『ホワイト・ティース』(新潮クレスト・ブックス)で高い評価を得る。2006年、本書で英オレンジ賞受賞。ほかに、『直筆商の哀しみ』(新潮クレスト・ブックス)など。
内容説明
知性とユーモアと奔放な語りを自在に操るハイブリッドな女性重要作家の最高傑作。オレンジ賞受賞。
著者等紹介
スミス,ゼイディー[スミス,ゼイディー] [Smith,Zadie]
1975年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学在学中からその才能を嘱望される。2000年、長篇『ホワイト・ティース』を発表すると、サルマン・ラシュディをはじめとする多くの作家・批評家から絶賛され、ベストセラーとなる。2002年には長篇『直筆商の哀しみ』を発表。続いて2005年、『美について』を刊行する。名作『ハワーズ・エンド』を下敷きに、2000年代のハイブリッドな文化を背景とした新たな傑作として高い評価を得て、英オレンジ賞受賞
堀江里美[ホリエサトミ]
1981年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
131
私は、絵画に興味が薄いというか、興味がある画家が限られている。特にレンブラントやフェルメールは、凄いとは思うがじっと観たい気が起きないのだ。後半のつまらなさは、私のその嗜好のためだ。そして、セクシャルな部分についての彼女の描き方は、いやでたまらなかった。思わず目を背けたくなるような不快感…。そして、物語全体としてもそういう終わり方をするかなあという疑問。この作家は私とは、まったく感覚のリズムが違うのだなと思う。イギリスでの評価は非常に高いようなのだけれど。2017/02/11
まふ
98
EMフォースター「ハワーズ・エンド」を下敷きにしたとされる大部の家庭小説。主人公は白人大学教授のハワードとその黒人の妻キキおよび3人の息子、娘(ジェローム、ゾラ、リーヴァイ)、そしてハワードのライヴァルである黒人の教授モンティー・キップスとその家族。これまで読んできたいわゆる黒人的世界とは異なり、白人型のインテリ型日常生活の中での物語なので不思議な感覚を覚える。やることは白人の教授連中の世界と同じ、白人と同じように浮気だらけの乱れた日常でありそれを糊塗するのも同じ。⇒2024/09/10
やまはるか
18
ゼイディー・スミスの「直筆商の哀しみ」が面白かったので2段組500ページのロシア文学並みの厚い本を手に取った。読み終えるのに半年以上かかった気がする。主人公はレンブラント研究者の大学教授ハワード(家族で唯一の白人)、かなり美人だった黒人の妻は3人の子を産み年を重ねて巨体を持て余す婦人に変貌した。ハサミを入れて3つに分けた物語の一つは「美と間違いについて」。読後に振り返れば物語の核心を突くタイトルとも思えるが、長い小説を俯瞰する読書は最後まで出来なかった。訳者あとがきを読むことでようやく完結した。2022/05/27
margo
13
ゼイディー・スミスの本の中で一番読み易かった。身に覚えのある愚かさがいくつも書かれている。気まずい負の面を率直かつ思わず笑う表現比喩で書きながら、登場人物を完全に切り離してはいない。 ラップ好きの末っ子16歳リーヴァイと優等生の長女ゾラのやり取りに何度も笑った。2016/07/07
バナナフィッシュ。
11
才能とはこういったもの。学生の身分で、版権争いが起ったのいうのも頷ける。イギリス人が好みそうな知的なワードでストーリーを引っ張る上に、それがまるで嫌みでもなく、ちょうどいい具合に色々なツボをついてくるのだ。早いところ、あざといまでに巧みなのだ。ぶ厚いのを見て嬉しくなるのってそんなない。ステーキか、ホットケーキぐらいなものだ。2017/05/04