青い脂

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  • サイズ B6判/ページ数 392p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309206011
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

内容説明

2068年、雪に埋もれた東シベリアの遺伝子研究所。トルストイ4号、ドストエフスキー2号、ナボコフ7号など、7体の文学クローンが作品を執筆したのち体内に蓄積される不思議な物質「青脂」。母なるロシアの大地と交合する謎の教団がタイムマシンでこの物質を送りこんだのは、スターリンとヒトラーがヨーロッパを二分する1954年のモスクワだった。スターリン、フルシチョフ、ベリヤ、アフマートワ、マンデリシュターム、ブロツキー、ヒトラー、ヘス、ゲーリング、リーフェンシュタール…。20世紀の巨頭たちが「青脂」をめぐって繰りひろげる大争奪戦。マルチセックス、拷問、ドラッグ、正体不明な造語が詰めこまれた奇想天外な物語は、やがてオーバーザルツベルクのヒトラーの牙城で究極の大団円を迎えることとなる。現代文学の怪物ソローキンの代表作、ついに翻訳刊行。

著者等紹介

ソローキン,ウラジーミル[ソローキン,ウラジーミル][Сорокин,Владимир]
1955年ロシア生まれ。70年代後半からモスクワのコンセプチュアリズム芸術運動に関わる。83年、当時のソ連を象徴する風景を戯画化した作品『行列』を発表し、欧米で注目を集める。2010年に『氷』でゴーリキー賞受賞。英語圏などでも高く評価されている

望月哲男[モチズキテツオ]
1951年生まれ。北海道大学教授。専門はロシア文学・文学研究

松下隆志[マツシタタカシ]
1984年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Vakira

55
またしてもソローキン理解したく・・・ソローキン、ブっ飛んでます。2068年のロシア。文化的に中国に浸食され中国語が入り混じったサイバーパンク世界。しょっぱなは映画の「ブレードランナー」の様な世界だ。RKとは多分レプリカントの事なのでしょうトルストイ4号、チェーホフ3号、ドフトエフスキー2号とか文豪のRKが7体も登場します。なかなか未来用語と中国語の世界に入れず、最初は読むのに苦労しますが、少し我慢して読み進めると、作品の構成面白く、文豪をオマージュした7話の短編が挿入され、ソローキン節が堪能できました。2015/04/30

zirou1984

51
歴史を持つ、というのは豊かさの指標である。それが文化的なものなら教養の土台となるし、血塗られた経験なら現代を照らす指標となる。その両方を併せ持つ地・ロシア出身のソローキンはそんな自国の歴史感覚を玩具の様に換骨奪胎することで、とんでもない作品を作り出した。『時計じかけのオレンジ』を彷彿とさせる造語文化によるSF風味からロシア文豪のパロディ、ラブレー的お下劣描写をまぶして果てはスターリンとフルシチョフがくんずほぐれつ。おぉ、おそロシア。全く以て意味不明なのに吸引力だけは凄まじいという、何とも扱いに困る一冊。2013/10/13

Koning

47
もっとじっくり読むつもりだったのだが、勢いづいて読み終わっていた(汗。正直訳注ははずしてるだろ!というのが多々あったのだけれど、でもこの怪作を完訳しただけでも快挙なので、とりあえず拍手な感じ。正直品行方正健康優良児な人には間違ってもお勧めしないけれど、やったもん勝ちなコンセプチャルアートを見て突っ込むと同時に楽しめる人で背中の褐色脂肪細胞が青脂を消化できそうな人なら読む価値はあると思う。ロシア語やってる人はうっかり原書を読もうと思うわない方がいいと思う(w。死ぬよね、これ(w2012/12/23

りつこ

45
最初の数ページがもうわけがわからなくて、読書会キャンセルしなきゃいけないかも…と青ざめたのだが、物語の世界へ身を委ねたらこれが思いのほか楽しかった。これぐらい作りこまれた世界であればエロもグロもスカトロもOKだ(私は)。偉大な作家のクローンたちが物語を織り成す過程で採取できる謎の物質・青脂をめぐる物語。クローンたちが書いた物語は壮大で文学的で下品で破壊的。大胆な歴史改変もソローキン流エログロ暴力お下品の味付けで妙に統一性がとれて説得力があるのがおかしい。十分理解できたとは言えないけれど十分楽しめた。2012/09/28

長谷川透

41
近未来の遺伝子研究所で開発された文学クローンがやりたい放題に生成するテクストは、エログロや荒唐無稽さだけに目を囚われがちだが、注意して読めば作り込まれており、表面上の大胆さの中にも仕掛けの精緻さが光る。ともなれば小説全体の壮大なる企てに大いに期待を寄せて読み進めるが、後半はスターリンなど実在したソビエトの大物が登場し、一転、リアリズムへの転向の気配が忍び寄るが、ヒトラーの登場によりその気配は一蹴され著者に弄ばれてしまった。読者の脳内エントロピーは加速度的に増加する一方。この小説には着地点はないのだ。2013/01/27

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