アリとニノ

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  • サイズ B6判/ページ数 333p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309203553
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

内容説明

敬虔なイスラム教徒のアリと、侯爵家の娘でキリスト教徒の美しいニノは、愛し合っていた。しかし、異なる宗教と異なる民族という東西2つの世界に引き裂かれ、越えなければならない深い断絶ゆえに、本書は恋愛小説以上の高貴で美しい物語になった。カスピ海沿岸の古都バクーを舞台に繰り広げられる幸福と絶望、第1次大戦とロシア革命前夜の新興小国の悲劇を描いたこの小説は、1937年にウィーンで刊行されベストセラーになって以来、数奇な運命をたどることになる。そして2000年、2度目の奇跡の復活を遂げた本書は、ニューヨーク・タイムズ紙など多くのメディアから最高級の讃辞で迎えられた。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

136
書かれたのは80年前で舞台は100年も前だが多民族の国家を語るさまは今のものと言われても違和感がない。舞台のザカフカスはグルジアより東より。アジアか欧州だか住んでいる人すらわからない。人種も宗教も入り混じって暮らすが、戦争が起これば隣人も友人もクラスメートも敵となる。彼らが動じないように見えるのは、そんな歴史が繰り返されてきたからだろう。イスラム教徒のアリは、世界で一番きれいな正教徒のグルジアの女の子に恋をする。冒頭の楽しい暮らしと二人の微笑ましさが最後までキラキラと頭の中に輝いていた。名作。2017/03/22

まふ

108
黒海とカスピ海に挟まれた弱小2国を舞台にした恋愛物語。イスラム教シーア派の国アゼルバイジャンの少年アリとギリシャ正教の国グルジア(現ジョージア)の少女ニノは相思相愛で宗教の違いによる問題を克服して結婚にこぎつける。が、両国は地域強国であるトルコ、ロシアに翻弄され、ペルシャ(イラン)に逃れたりするも、ペルシャはイスラム教の戒律の厳しい国であり、ニノはハレムで宦官に監視される厳しい生活を送ったりする…。イスラム教国における信徒の戒律的生活が興味深かった。G456/1000。⇒2024/03/02

NAO

48
第一次世界大戦ロシア革命直前という不穏な世界情勢の中、ヨーロッパ文化とアジア文化が融合するバクーを舞台に、イスラム教徒のアリとギリシヤ正教徒ニノの、宗教観、価値観の違いを乗り越えた恋愛小説。忍び寄る戦争の足音を背景に、どこか現実離れしたようなエキゾチックな世界で、初々しい二人の愛が美しく描かれている。クルバン・サイードは二人の合作ペンネームだが、一人はバクー生まれのイスラム教に改宗したユダヤ人で、バクー周辺の描写が美しく、多民族国家の縮図のような地での微妙な政治情勢や複雑な人間関係も見どころとなっている。2016/01/09

ヘラジカ

30
ヨーロッパ文化とアジア文化が拮抗し融合するバクーを舞台とした恋愛小説。アリとニノはお互い別々の宗教と文化を抱えていながらも、価値観の違いを乗り越えて完璧な愛を形成していく。アゼルバイジャンの歴史的背景に関する知識が絶望的に乏しいので、恐らくこの本の魅力の多くは理解出来ていないだろうが、それでも最後まで読んで文句なしに素晴らしい小説だと言い切れる。感想として簡単には書き表せないが、恋愛小説苦手な人間を容易に引き込んでしまう程の力があった。通俗的なラブストーリーとは一線を画する作品なのは言うまでもない。2015/05/31

Э0!P!

2
アジアとヨーロッパの波打ち際。アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアの入り乱れる地域で、背後に、イラン、ロシア、トルコが控えている。第一次世界大戦を受けて支配者が目まぐるしく変わる。アゼルバイジャン人として、ムスリムとして、砂漠の民として、誇りある戦士の人生を全うするアリ。戦のときしか走らない伝説の馬で、姫を攫った車を追い詰めるシーンは英雄的で美しい。2022/11/14

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